人間の知能はなぜ進化した? 3つの説
大脳の左側を横から見た図で、赤く塗られた部分が前頭前野です。人間の脳が大きくなる中で、計画を立てたり判断したりするこの部分は、とくに大きくなりました。Credit: Polygon data were generated by Database Center for Life Science(DBCLS)[2]. / Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.1 jp)人間の知能が進化した理由については、大きく3つの説があります。
1つ目は、道具作りや狩り、厳しい気候といった、自然の中の課題を解くためだったという説です。
ただ、同じような環境にさらされた動物はほかにも多いのに、人間ほど賢くなったものはいません。
2つ目は、知能がクジャクの尾羽のように、異性を引きつける「求愛の飾り」として進化したという説です。
ヤーラ国立公園で、尾羽を広げて求愛のしぐさをするクジャクです。知能もこうした尾羽と同じく、異性を引きつける飾りとして進化したと考えるのが2つ目の説です。Credit: Manelka Jayasundara / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)しかしこの説は、男女で知能にほとんど差が無いことや、実際の相手選びでは知能が高い人ほど魅力的とされるわけではないことと合いません。
3つ目が、仲間と協力してほかの集団と競う暮らしの中で、知能が磨かれたという説です。
進化生物学者のリチャード・アレクサンダーは、祖先たちは「競争するために協力しなければならなかった」と考えました。
この考え方なら、人間が最も近い親戚の動物たちを特に上回るのが、社会的な場面で頭を使う課題だという点も説明できるとされています。
今回のチームのメンバーはこの考えを進め、2026年に「連合知能仮説」を発表しています。
賢い人は、皆の段取りを整えるといった頭を使う手助けを仲間に与え、そのお返しに地位を得る、という考えです。
研究チームが唱える「連合知能仮説」の考え方を表した図です。2本の矢印が逆向きになっていて、手助けと地位がお返しとして行き来する関係だと分かります。Credit: ナゾロジー編集部(編集部が作成した図、論文の図1(Egeland et al., Evolution and Human Behavior (2026)、CC BY 4.0)をもとに作成)ここで言う地位とは、怖さや腕力ではなく、尊敬や憧れから自然に与えられる立場のことです。
ただ、これを確かめるには、これまでの研究に足りない点がありました。
知能と地位を調べた研究の多くは、地位を収入や学歴、職業で測っていました。
反対に、尊敬される度合いを調べた研究では、知能を客観的なテストで測っていないことが多かったのです。
そこでチームは、知能テストの点と相手からの尊敬を、同じ実験の中で測ることにしました。






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