「所さんにガッカリ」12歳少女と37歳男性の“児童婚”扱う『世界まる見え』の“お笑いノリ”に批判殺到。日テレ・所ジョージの回答は?

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『世界まる見え!テレビ特捜部』(日本テレビ系 5月11日放送回)で放送された、イランでの12歳少女と37歳男性の児童婚問題を扱うVTRについてのスタジオトークに対し、SNSで批判の声が上がった。

VTRは、イランに古くから残る児童婚の風習に立ち向かい、まだ12歳である妹の結婚を阻止しようと孤軍奮闘する兄のドキュメンタリー。児童婚について国際的な人権問題としての掘り下げはせず、VTR後のスタジオトークでは、番組MCのタレント・ミュージシャンの所ジョージさんが「彼(兄)も結婚すれば、わかるんじゃないかな」などとコメントした。

SNSでは「所さんのコメントにはドン引き」「所さんだけ兄をワガママ扱いして、完全に問題点を分かってなくてエグかった。素敵な人だと思ってたけど時代錯誤」「ガッカリした」などの意見が見られた。

ハフポスト日本版は、日本テレビと所ジョージさん側に、児童婚の取り上げ方や番組の演出、コメントについて取材した。

12歳の妹の結婚を阻止するため兄が奮闘⇨所さん「彼も結婚すれば、わかるんじゃないかな」

番組ではVTRを「12歳の少女が結婚 妹たちの結婚を阻止するべく古い風習に立ち向かうお兄ちゃんの戦い」として、イランのドキュメンタリー映画『アローン』(ジャファル・ナジャフィ 監督)を吹替・編集して一部を放送した。番組が伝えた内容は次の通りだ。

イランの児童婚の風習がある村で、37歳男性の妻が幼い息子を残して他界し、彼は亡き妻の双子の妹を、どちらでもよいので後妻にしたいと申し出た。その双子の妹はまだ12歳。

妹たちの14歳の兄は親族はじめ村中が賛同するなか、ひとり反対した。「相手37歳ですよ?おかしいですよ妹は12歳なのに」「時代は変わったんです。そもそも昔がおかしかったんですよ」と主張。また「外から来た取材スタッフのみなさんなら分かるでしょう?この風習がどれだけおかしいか」と訴える。

ユニセフの調査によれば、イランでは児童婚が依然として行われているのが現状だ。その文化の中で生まれ育った双子の妹2人は、プレゼントをくれた義兄にあたる男性を「優しい」と感じ、どちらも結婚に前向きである。

これに対して兄は、「亡くなった姉さんは夫にこき使われて寿命が縮まったんだ」と不幸な結婚生活を示唆し、教育を受けて自分自身の人生を歩むよう何度も説得するが、幼い妹達は聞く耳を持たず、喧嘩にもなる。

兄のさまざまな奮闘を追うVTRを受けたスタジオトークでは、所ジョージさんが「彼も結婚すれば、わかるんじゃないかな。もっといろんなことが。自分が結婚していないから、“こうじゃないか”と想像しちゃうんじゃないかな」と発言した。

また、ドキュメンタリー映画では結婚がどうなったか結末は描かれていないが、双子の妹たちは現在、結婚せずに済んだことが番組で明かされた。すると所さんは「(妹達が)どこかの馬の骨に引っかかるかもね」と皮肉めいた言葉で茶化し、スタジオでは笑いが起きていた。

VTR放送中も、ワイプで抜かれた出演者が展開に逐一「え~!」「あれ?」「ありゃりゃ」と笑いながらリアクションしていた。

児童婚への掘り下げナシ。番組にSNSで批判殺到

18歳未満の子どもが結婚する児童婚は、人権の観点からユニセフをはじめ国際的に問題視され、廃止を求める取り組みがなされている風習だ。とくに女性が被害にあうことが多く、ユニセフの2023年のデータによれば、20歳から24歳の若い女性の5人に1人が児童婚を経験しているという。

早すぎる結婚により、教育の機会が奪われて将来の選択肢が減るほか、幼いため家庭内での地位が低くDVを受ける可能性もあり、未成熟な身体で妊娠・出産することにより母子の命と健康が危険にさらされることがある。

今回のドキュメンタリー映画では、双子の妹たちが、若くして結婚・出産した友達から、「勉強する余裕もなく、夫にだまされた」「大学に行っている女の子がうらやましい。そんなに急いで結婚しないほうがいい」と聞かされるシーンは放送されていた。

しかし、番組では児童婚自体の問題について掘り下げるわけではなく、当該の村の風習という扱いだった。

そのためSNSでは、「児童婚を問題視する趣旨での放送ではないことに驚き」「番組自体がこのVTRをバラエティ的に扱ってるのがどうかと思う」「バラエティ番組にしちゃうのはにわかに信じがたい。ズレすぎてるよね…」との意見があった。

また、原作映画の趣旨とは異なるであろう、軽い印象を与えるような吹き替えやナレーションをあて、バラエティ番組のネタ素材として消費しているのではないかという疑問の声もあった。

「元々このドキュメンタリーを作った人達は、こんな風に世界の面白文化みたいに編集されてることをどう思うだろう?」「製作陣の意図と違う放送の仕方だと思います。 あきらかに違和感が」「BGMもアフレコも明るいホップ調で内容の深刻さと明らかに乖離しててただただ不気味」

日本テレビ「事実関係の正確性や文脈の維持に細心の注意を払いました」


日本テレビはハフポスト日本版の取材に対し、今回の制作意図について「当該企画は、イランの村に根付く『児童婚』という深刻な社会課題に自らの意思で反対の声を上げる1人の少年の姿を通じ、視聴者の皆様にこうした世界の現実を伝え、共に考えていただくきっかけにしたいという意図でVTRとスタジオ部分を構成し、放送いたしました」と説明。

原作のドキュメンタリー映画による問題提起を理解したうえで放送したのかどうかや、番組での扱い方や演出方針について映画制作者側や配給・権利関係者に事前共有・協議をしたのかについて尋ねたが、明言を避けた。

「原作映画『アローン』が提示する児童婚や女性の人権といった重要なメッセージを尊重し、放送素材としての使用および編集に際しては、番組制作の規定に則り、配給・権利関係者と適切な許諾手続きを経ております」とコメント。

原作の意図や文脈を視聴者に適切に伝えるための配慮に関しては「表現や内容については、現地の歴史・法律等に精通した専門家による確認を行い、事実関係の正確性や文脈の維持に細心の注意を払いました」と回答した。

所ジョージさんの発言に対する視聴者からの批判の受け止めや、編集に問題があったかどうかの認識について質問したが、「放送後、視聴者の皆様からいただいた多様なご意見・ご指摘については真摯に受け止め、今後の番組制作の参考とさせていただきます」と明言しなかった。

また、ハフポスト日本版は所ジョージさん側に発言の真意について質問したが、期日までに返答はなかった。

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