「気分が上がる薬です」の一言が効いたのは内向的な人だけだった
「気分が上がる薬です」の一言が効いたのは内向的な人だけだった / Credit:Canva薬を飲んだ直後、有効成分が体に届くはずもない時間帯なのに、なんだか調子がよくなった気がする。
風邪薬を飲み込んだ瞬間にホッとしたり、栄養ドリンクを手に取っただけで元気が出た気がしたり——そんな経験は、日常のなかに意外と多く転がっています。
「効くはずだ」と思い込むだけで体に実際の変化が起きるこの現象は、プラセボ効果と呼ばれています。
ところがプラセボ効果の恩恵は、誰にでも同じ大きさで訪れるわけではないようです。
マールブルク大学の研究チームは、18〜60歳の健康な成人293人にまったく同じ見た目のカプセルを飲んでもらいました。
半数には「3時間後に気分が高揚する薬が入っている」と伝え、残り半数には「有効成分のない物質が入っている」と伝えます。
カプセルの中身もまた、本人にも実験担当者にもわからない形で別途ランダムに振り分けられていました。
服用前と服用後の数時間にわたって、合計6回、ポジティブな気分の度合いを測定しています。
そしてもう一つ、実験の前に済ませておいたことがあります。
参加者全員の性格を、あらかじめ測っておいたのです。
社交的でエネルギッシュかどうか(外向性)、そして喜びや意欲を感じにくい傾向がどれくらいあるかという性格のデータです。
結果は意外なものでした。
参加者全体の平均を見ると、「気分が上がる薬」と告げられたグループも「効果のない物質」と告げられたグループも、ポジティブ感情に差は見られませんでした。
一見、プラセボ効果は起きていなかったように見えます。
ところが平均という物差しは、ときに正反対のものを足して打ち消してしまいます。
外向性のスコアで分けると、様子は一変します。
内向的な人は「気分が上がる薬」と伝えられた場合、「効果のない物質」と伝えられた場合に比べてポジティブ感情がはっきり高くなっていたのです。
一方、外向的な人では逆に、期待を持たされた側の方が気分は下がる傾向にありました。
見た目も渡され方もまったく同じカプセル。
変わったのは、添えられた一言だけです。
「信じれば効く」が通用するかどうかは、性格によって大きく変わっていたのです。






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