世界共通の「くすぐったい地図」が完成――最もくすぐったい場所は「敏感な場所」ではなかった

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文化が違っても、くすぐったい「地図」は同じだった

文化が違っても、くすぐったい「地図」は同じだった文化が違っても、くすぐったい「地図」は同じだった / 異なる文化の人々がくすぐったいと思う場所を示した地図は驚くほど一致していました/Credit:Xiong & Kilteni, Nature Human Behaviour (2026), CC BY 4.0

脇の下にだれかの指が近づいてくる気配だけで、思わず腕をぎゅっと閉じてしまう——そんな経験は、誰にでもあるはずです。

くすぐられて笑い、逃げ、抵抗する。この一連の反応は、日本で暮らす私たちにとってあまりに当たり前のものです。

ところが、それが文化を越えて本当に同じなのかを体系的に調べた研究は、これまでほとんど存在しませんでした。あまりに身近すぎて、科学の正面に立たされることがなかったのです。

そこで研究チームは中国・オランダ・ギリシャの3つの文化圏から448人を集め、人体のイラスト上でくすぐったいと感じる場所を塗り分けてもらいました。

対象としたのは、羽でなでるような軽い接触ではありません。思わず笑ってしまう、あの強めのくすぐりです。

こうして描き出されたくすぐったさの全身地図(身体マップ)に浮かび上がったのは、首、脇の下、お腹、足の裏でした。

この4カ所を中心としたパターンは3つの文化圏で大きく重なっており、2つの文化のデータだけで学習させた機械学習モデルが、残り1つの文化の地図をぴたりと言い当てられるほどでした。

未知の文化のくすぐったさを予測できてしまうということは、その配置に文化を超えた共通の型があることを意味します。

参加者の98%以上が「くすぐられた経験がある」と回答し、その反応も「笑う」「逃げる」「抵抗する」と文化を問わずよく似ていました。

他のスキンシップでは文化ごとに心地よさの感じ方が変わることが知られているにもかかわらず、くすぐったさに関しては、反応にも身体地図にも大きな文化差がほとんど検出されなかったのです。

それどころか、チンパンジーやボノボも脇や足、お腹など人間と同じ場所を手や指でくすぐり合い、笑い声に似た発声を出すことが報告されています。

くすぐりという行動は、ヒトの文化どころか種の境界すら越えて受け継がれてきたのかもしれません。

場所がここまで普遍的であるなら、その理由は文化の側ではなく、身体そのものの側にあるはずです。

実際、この疑問は2000年以上ものあいだ、答えの出ないまま思想家たちを悩ませてきました。

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