迷子のゾウを「家族の群れ」へ戻せるのか?
今回救出されたのは、生後4カ月ほどのメスのアフリカゾウです。
彼女はケニア北部の観光キャンプに1頭で迷い込んできました。
キャンプのスタッフは、保護のためにゾウを木につなぎ、この地域で約30年にわたってゾウを研究してきたジョージ・ウィッテマイヤー教授の研究チームに連絡しました。
ゾウは、すでに母親とはぐれており、後に母親の遺体が見つかったことから、母親はおそらく自然死したと考えられています。
問題は、このゾウをどの群れに戻すべきかでした。
ゾウは大きな群れで動くように見えますが、実際には母系の家族関係を中心に、非常に複雑な社会ネットワークを作っています。
そのため、適当な群れに戻せばよいわけではありません。
受け入れてくれる本当の家族を見つけなければ、ゾウは再び孤立してしまう可能性があります。
そこでチームは、サンブル国立保護区で子どもを失った家族を集中的に探しました。
ウィッテマイヤー教授と非営利保全団体「Save the Elephants」の研究者たちは、現地のゾウたちの誕生や死亡、移動、家族関係を長年記録してきました。
このデータの蓄積があったからこそ、迷子になったゾウがどの家族に属している可能性が高いのかを推定できたのです。
研究者たちは、ほぼ間違いなく家族だと考えられる群れのもとへ、ゾウを連れていきました。
しかし、ここで最大の不安がありました。
群れは本当にこのゾウを覚えているのでしょうか。
そして、母親を失った幼いゾウを、家族として再び受け入れてくれるのでしょうか。
ゾウはトラックでの移動に疲れ、混乱していたため、到着してすぐにほかのゾウのほうへ歩み寄ることはできませんでした。
研究者たちは、緊張しながらその場面を見守っていました。
すると、研究者たちが「アデレード」と呼んでいたメスのゾウが、ゾウに気づいて近づいてきました。
アデレードは、そのゾウの叔母にあたる個体です。
アデレードが子ゾウに向かって声を出すと、子ゾウも声を返しました。
この呼びかけと応答が、群れ全体を動かしました。
子ゾウが家族と再会する実際の映像がこちら。
家族のゾウたちは低い鳴き声を出し、ラッパのような鳴き声を上げながら子ゾウのもとへ集まってきました。
そして、長く離れていた仲間と再会したときに見られる「あいさつの儀式」のように、ゾウを取り囲んだのです。
それは、迷子のゾウが単に保護されたというだけでなく、家族の一員として再び迎え入れられた瞬間でした。






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