(CNN) 蚊は小さいながらも危険な昆虫だが、初めから人間の血液が好きだったわけではない。そもそも人間よりずっと前から生息していた。
蚊がいつから人間の血液を好むようになったのかを知ることで、人類の祖先が地球上を移動した歴史を知るヒントが得られるとの研究が発表された。
英マンチェスター大学の上級講師、キャサリン・ウォルトン氏らのチームが先月、科学誌サイエンティフィック・リポーツに論文を発表した。東南アジアでマラリアを媒介する蚊などを採集して調べたところ、290万~160万年前にホミニン(ヒト族)の登場を受けて進化した可能性が高いとの結果が出た。これは、古代人類が同地域に到達した時期を示す一部の仮説と一致する。
ウォルトン氏によれば、相当数の原人ホモ・エレクトスがきっかけとなって、森に生息する一部の蚊が順応したと考えられる。
科学者らは従来、古代人類がいつアフリカから出てどこへ拡散したかを研究する際、化石や古代のDNAを手がかりにしてきた。だが、こうした物理的な痕跡は時が経つと消失してしまうことも多い。
東南アジアのように高温多湿で遺骨の分解が進みやすい環境では、DNA配列の解読やコンピューターモデリングのような非考古学的な手法が人類の足取りをたどるヒントになり得る。
東南アジアには化石があまり残っていないため、ホモ・エレクトスなどの古代人類が到達した時期をめぐっては、180万年前か130万年前かといった論争が数十年前から続いてきた。
ウォルトン氏はCNNとのインタビューで「歴史をつぎ合わせるのは非常に難しいため、多様な情報源を駆使する必要がある」と語った。「蚊から得られる情報も化石や人間のゲノム(全遺伝情報)からの情報も、それぞれに限界がある。だからこそ、それらを統合し、照らし合わせようとする試みは有益だ」
新たな好みが発達
蚊は人間を狙う害虫のように思えるかもしれないが、実は3500種類を超える既知の蚊の仲間の中で人間の血液を吸う例は珍しい。そう指摘するのは、チームを率いた米バンダービルト大学の博士研究員、ウパサナ・シャムスンデル・シン氏だ。
その一例が東南アジアに生息するアノフェレス・レウコスフィルス群で、ほかの動物より人間の血液を好む。
この好みがどう進化したかを探ることで、蚊が媒介するマラリアの感染経路への理解も深まる。
シン氏は「レウコスフィルス群の中にも人間に強く引きつけられる仲間とサルを刺したがる仲間がいるのはどうしてか、この変化はいつ、どのようにして起きたのかを突き止めたいと考えた」と説明する。
チームは1992年から2020年にかけて東南アジア各地の蚊を採集し、レウコスフィルス群に属する11種類の蚊38匹のDNA配列を解読した。
ウォルトン氏によると、ボルネオ島での調査から、人間の血液を吸う蚊とサルを好む蚊の行動について画期的な結果が得られたという。
メンバーらは熱帯雨林の水たまりにすむ蚊が人間を刺そうとするときにいつ、どうやってアプローチするかを観察した。一方で、サルを好む蚊を採集するために森の中で何晩も待機した。この仲間は人間の近くに飛んでこないため、幼虫を集める必要があった。

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