進化が本当に気にかけているもの
進化が本当に気にかけているもの / Credit:Canva私たちはよく、進化を「適者生存」——強いもの、優れたものが生き残る仕組み、とざっくり理解しています。でも、ここに大事な但し書きがあります。
進化が本当に気にかけているのは、「生き延びること」そのものではありません。「子孫を残せるかどうか」です。
進化を、こんなリレー競走だと思ってみてください。
あなたが走るのは、次の走者にバトンを渡すまでの区間です。
スタートからバトンを手渡すまでの走りは、勝敗を分けるので、フォームの良し悪しが容赦なく問われます。
ここでつまずいて転んでしまえば、あなたの走り方は——いえ、あなたの遺伝子は、次の世代に受け継がれません。
ところが、バトンを渡し終えた後のあなたが、どんなふうに走ろうと、歩こうと、座り込もうと、レースの勝敗には、もう直接は関わりません。
観客も審判も、誰もそこを見ていないのです。
進化も、これとそっくりのことをしています。
もっとも、繁殖を終えた個体が、まったく無価値になるわけではありません。
人間やシャチなど一部の種では、年老いた個体の知恵や経験が孫世代の生存を助け、結果としてその個体自身の遺伝子を後世に残すことがあります。
いわゆる「おばあちゃん効果」です。
バトンを渡し終えた走者が、今度はコースの脇から後続に給水を手渡すように、繁殖後の貢献にも、わずかながら意味は残されています。
とはいえ、それは大きな流れを覆すものではありません。
孫を助ける貢献は、選択の力をいくらか引き止めはしても、完全にせき止めることはできないからです。
そして著者たちが、世界の人口データを使って計算してみたところ、自然選択の強さは成人後、年齢とともにはっきりと右肩下がりに弱まっていくことも示されました。
しかも面白いことに、このパターンは、出生率も死亡率も高かった昔ながらの社会(長生きも少ない)でも、出生率も死亡率も低い現代社会(長生きも多い)でも、共通して見られたのです。
この結果は、進化が老後のことを、若い時期ほどには気にかけないという主張を裏付けるものです。
そしてこの視点からみると「老化の原因」や「老化すると病気になりやすい」という現象を再解釈することができます。






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