高齢者への「無意識の偏見」が問題に
職場の年齢差別は、本人がはっきり口にする偏見だけで起こるわけではありません。
むしろ問題になりやすいのは、「若い人の方が柔軟そう」「年配者は新しい仕事に向かなそう」といった、自分でも気づきにくい無意識的なバイアスです。
こうした無意識の偏見は、研修や講義で「差別はいけません」と教えるだけでは変わりにくいと考えられています。
そこで研究チームが注目したのが、VRによる「身体化」です。
これは、VR内のアバターを、自分の身体であるかのように体験する現象を指します。
鏡の中のアバターが自分の動きに合わせて動くと、脳は次第に「この仮想の身体は自分だ」と感じるようになります。
今回の実験には、20〜30歳のヘブライ語話者の若い男性107人が参加しました。
参加者は、
・アインシュタイン(下画像のA)
・ハサン・ナスララ(レバノンのイスラーム主義武装組織ヒズボラの最高指導者、2024年没)(B)
・中立的な高齢者(C)
・中立的な若者(D)
という4種類のアバターのいずれかにランダムに割り当てられました。
アインシュタインは肯定的な意味をもつ高齢者アバター、ナスララは今回の被験者にとって否定的な意味をもつ高齢の公的人物、中立的な高齢者と若者は比較対象として設定されています。
実験の様子/ Credit: Elyoseph et al., Frontiers in Psychology(2026), CC BY参加者はVRヘッドセットを装着し、職場を思わせる中立的な会議室のVR空間に入りました。
そこで自分の動きと同期するアバターを一人称視点や鏡越しに見ながら、簡単な動作や課題を行いました。
彼らは、ただ画面上のキャラクターを眺めるのではなく、「自分がその人物の身体に入っている」ような体験をするのです。
実験の前後では、高齢者に対する暗黙の偏見を測るテストが行われました。
ここで調べられたのは、「高齢者についてどう思いますか」と本人に尋ねる意識的な態度ではありません。
高齢者と否定的な言葉、若者と肯定的な言葉が、どれくらい自動的に結びついているかという、より反射的な心の動きです。






English (US) ·
Japanese (JP) ·