米財務省、仮想通貨取引所MEXCに遮断命令|2.7兆円の不正関与

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この記事の要点

  • 米FinCEN、MEXCとの全資金送受信を禁止する命令を発出
  • 不正関連167億ドルの資金移動に関与、米国金融システムから実質排除へ

米国、仮想通貨取引所MEXCへ遮断命令

米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は2026年11月6日、仮想通貨(暗号資産)取引所MEXC Globalに対し、米国金融システムへのアクセスを実質的に遮断する命令を発出しました。

今回の命令では、米国の対象金融機関によるMEXCとの資金送受信を全面的に禁止し、米ドルなどの法定通貨に加えて仮想通貨の移転も規制対象としています。

FinCENの調査によると、MEXCは2021年5月から2026年5月までの5年間に、ロシアやイランの制裁回避、サイバー犯罪などに関連する167億ドル(約2.7兆円)相当の資金移動を促進していたといいます。

スコット・ベッセント財務長官は今回の発表で「金融機関は二股をかけることは許されない」と述べ、イラン政権につながる資金調達経路を遮断する方針を強調しました。

命令は連邦官報への掲載から30日後に発効する予定で、違反した対象金融機関やその役職員などには民事・刑事罰が科される可能性があります。

日本がガランテクスを制裁対象に追加

制裁対象との取引継続、資金洗浄対策に深刻な欠陥

ロシア制裁回避に約15億ドル、制裁対象との取引も継続

FinCENが公開した命令書によると、MEXCはロシアの制裁回避に関連する約15億ドル(約2,460億円)の資金移動に関与しており、このうち2億3,200万ドル(約380億円)が米国・EU・英国の制裁対象団体との直接取引に該当します。

取引先には米OFAC(外国資産管理局)が2022年4月に制裁対象に指定したGarantex(ガランテクス)と、その後継として設立されたGrinex(グリネックス)が含まれ、MEXCは2026年6月時点でも両取引所との取引を継続していたとFinCENは報告しました。

FinCENが特定した制裁指定後の直接取引額は、ガランテクス関連が約1億2,900万ドル(約210億円)、グリネックス関連が約410万ドル(約6.7億円)に上ります。

ガランテクスやグリネックスも関係するロシアの制裁回避ネットワーク「A7」に関連して、MEXCは少なくとも2,600万ドル(約45億円)の資金移動を処理したほか、同ネットワークが利用するルーブル連動型ステーブルコイン「A7A5」に関連した取引も約2億ドル(約330億円)に達したとFinCENは指摘しました。

イラン関連20億ドル、北朝鮮の犯罪にも関与か

ロシア関連に加え、FinCENはMEXCがイランの関係者やテロ組織とされる団体に関連する約20億ドル(約3,280億円)の資金移動にも関与していたと報告しています。

このうち10億ドル(約1,640億円)超は40以上のイランの仮想通貨取引所との直接取引で、約2,200万ドル(約35億円)は制裁対象のイラン中央銀行やイスラム革命防衛隊(IRGC)とそのクッズ部隊に関連する資金とされています。

北朝鮮関連でも制裁対象者への資金移動が確認されており、米国が2023年4月に制裁対象に指定した資金洗浄関係者による2025年6月から9月までの約35万ドル(約5,700万円)の受領をMEXCが仲介していたとFinCENは指摘しました。

制裁対象者との取引以外にも、MEXCを経由した資金にはランサムウェアの支払いや詐欺収益、ダークネットマーケットに関連するものが含まれ、FinCENはサイバー犯罪に関連する資金移動が少なくとも19億9,000万ドル(約3,260億円)に上ったと分析しています。

MEXCのマネロン対策に「深刻な欠陥」と指摘

一連の不正関連取引について、米財務省はMEXCのマネーロンダリング対策(AML)や顧客確認(KYC)の管理体制に「深刻な欠陥」があったと指摘しています。

MEXCは利用規約でイランや北朝鮮など特定地域からの利用を禁止していたものの、実際には対象地域の関係者による取引が処理されており、FinCENは同社が公表する管理体制では不正資金の流通を防げていなかったと判断しました。

こうした状況を踏まえ、FinCENは記録保存や報告義務の強化、コルレス口座の制限といった従来の特別措置では不十分と判断し、ロシアマネーロンダリング対策法第9714条(a)に基づく資金送受信の禁止を選択したと説明しています。

命令は米国外で活動するMEXCの子会社や後継事業体にも適用されますが、米国内に所在する関連拠点は規制対象から除外されています。

対イラン制裁を拡大、MEXCへの命令は発効待ち

米財務省は2026年8月24日、仮想通貨を利用したイランの制裁回避などを取り締まる「Operation Economic Outcast」を開始し、10月1日にはイランの資金移動にも利用されていたロシアの制裁回避ネットワーク「A7」を重要な国際犯罪組織として制裁対象に指定しました。

11月6日にはイランの制裁回避に関与したとされるカナダの資金移動業者8社も制裁対象となり、米財務省はイランの資金調達を支える国外の金融事業者への取り締まりを継続しています。

MEXCへの命令も同じ制裁作戦の一環として11月6日に発出されており、FinCENは米国金融機関との資金送受信を禁止する措置を決定しました。

FinCENの命令書には終了期限が設定されておらず、連邦官報への掲載から30日後に発効する予定で、MEXCの米国金融機関との取引関係や事業運営に及ぶ影響が注目されています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.46 円)

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Source:米財務省発表
サムネイル:AIによる生成画像

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