トロン上で「6.3億円」流出、iPhone標的の攻撃キットとの関連を調査

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この記事の要点

  • TRON上の365ウォレットで被害、USDT約6.4億円流出
  • 秘密鍵の不正利用が疑われ、被害は9チェーンに拡大

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TRON上で約6.4億円流出、365ウォレットに被害

ブロックチェーンデータ分析企業Bitquery(ビットクエリ)は2026年11月5日、TRON(トロン)上の365ウォレットが窃盗被害に遭い、少なくとも約406万ドル(約6.4億円)相当のUSDTが流出したとする調査報告を公表しました。

被害は2026年10月5日から11月4日までの約1か月間に発生しており、365ウォレットのうち276件でUSDTが盗まれ、残る89件ではTRXのみの流出が確認されています。

今回の窃盗では、被害者のウォレットに少額のTRXを送金した直後にUSDTを全額引き出す手口が使われており、ビットクエリは窃盗者が仮想通貨(暗号資産)ウォレットの秘密鍵を事前に入手していたと分析しました。

秘密鍵の流出経路についてはiPhone攻撃キット「DarkSword」との関連が疑われるものの、iPhoneからの窃盗と直接結びつけられた事例は1件のみで、残る被害者の端末やアプリ、侵害経路は特定されていないと同社は説明しています。

数秒で全額流出、被害資金は複数チェーンへ

着金から18秒で約8,200万円のUSDT流出

ビットクエリの調査によると、窃盗者は被害者が送金手数料に充てるTRXをほとんど保有していない場合でも、自身の手数料用ウォレットなどから少額のTRXを送り、USDTを引き出していました。

その数秒後にUSDT残高が収集用アドレスへ全額移され、残ったTRXも回収される手順が繰り返されており、被害者が新たな送金を承認する操作を行わずに資産が移動する手口となっています。

10月25日には、あるウォレットに18TRXが着金した約18秒後、51万9,093 USDT(約8,200万円)が全額流出し、その後1分以内に残りのTRXも移動した事例が確認されました。

こうした送金先を追跡した結果、43の収集用アドレスが同一の手数料用ウォレットと資金のつながりを持ち、その大半が1〜2日間で活動を終えて別のアドレスに切り替わっていたことが明らかになっています。

被害ウォレットの46%が使用歴1年以上

この窃盗ネットワークによるトロン上の被害額には大きな偏りがあり、10万ドル(約1,580万円)以上のUSDTを失ったウォレットは8件で、この8件だけでUSDT被害総額の63%を占めていました。

USDT被害額の中央値は約1,029ドル(約16万円)、単一ウォレットの最大被害額は約69万3,000ドル(約1.1億円)に達しており、被害ウォレットの46%が1年以上使用されていたアドレスだったことも明らかになっています。

被害はトロン上にとどまらず、ビットクエリの調査ではイーサリアムやBNBチェーン、ソラナなど、ほかの8つのブロックチェーンでも65ウォレットから少なくとも10万3,000ドル(約1,600万円)が流出していたことが判明しました。

10月28日には、約2年半使用されていた単一ウォレットから17分間で6つのチェーンにわたり資産が盗まれる被害も確認されています。

151万ドルがTRONへ還流、iPhone被害との一致は1件

窃盗者は盗んだ資金の移動経路も変更しており、当初はUSDTをUSDDへ交換して「CCE Cash」に送っていたものの、10月25日以降はdeBridgeを通じてイーサリアムやオプティミズムへ移す方式に切り替えました。

ビットクエリはイーサリアム側の受取アドレスを追跡し、そこから約151万ドル(約2.4億円)がクロスチェーンプロトコルLI.FIを通じて71件の送金でTRONへ還流していたことを確認しています。

同社は資金の移動経路を追跡したものの、オンチェーンの記録だけでは被害者の端末や侵害経路を特定できず、iOSの脆弱性を悪用する攻撃キット「DarkSword(ダークソード)」や「Coruna」との関連についても可能性を指摘するにとどまりました。

実際にiPhoneからの窃盗と直接結びつけられたのは、10月15日に1万6,428 USDT(約260万円)が流出し、その12秒後に残りのTRXも移動した1件のみで、残る364ウォレットについては使用端末や侵害経路を特定できていないと同社は説明しています。

偽サイト1500件超確認、ウォレット保護が急務

ブロックチェーンセキュリティ企業SlowMist(スローミスト)は2026年10月24日、DarkSwordに関連するフィッシングサイトを1,500件以上確認したと警告し、大手仮想通貨取引所やウォレットサービスを装った偽サイトへの注意を呼びかけました。

DarkSwordが悪用する既知の脆弱性については、グーグル・スレット・インテリジェンス・グループ(GTIG)がiOS 26.3までにすべて修正されたと報告しており、AppleもiOS 18.7.7で重要な保護機能を提供するなど、端末への侵入を防ぐための対策が示されています。

今回の窃盗事件を調査したビットクエリも、身に覚えのない少額TRXの着金が資産窃盗の前兆となる可能性を警告しており、秘密鍵の漏洩が疑われる場合には、新しいシードフレーズで作成したウォレットへの資産移動を推奨しています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.76 円)

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Source:Bitquery調査報告
サムネイル:AIによる生成画像

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