
『「日本文化論」はどう創られてきたか 戦時下のモンタージュ』(集英社)著者:大塚 英志
ひとつの言葉が一世を風靡(ふうび)して、さまざまな事象がその言葉に結びつけて語られるようになる。1930年代から戦時中にかけて流行したのは「モンタージュ」だった。
ことの始まりはソ連の映画監督、エイゼンシュテイン。日本文化はモンタージュだと彼が言うと、それに飛びつく人びとがいた。モンタージュというのは映画の用語で、異なる視点のカットとカットをつなぐと新たな意味が生まれるというもの。
エイゼンシュテインはべつに「だから日本文化はスゴイ!」と言ったわけじゃない。日本文化だけがモンタージュだと言ったわけでもない。だけど世界的映画監督からお墨付きを与えられた気分になったからか、以降、いろんなところでモンタージュが使われるようになる。日本文化を海外に宣伝しようというとき、あるいは国民の戦意を高揚させようというとき。なるほど、ひと昔前にも「クールジャパン」なんていささか恥ずかしい官製ブームがあったけれども、ルーツはここにあったのか。
新書としては破格の厚さの全474ページ。同著者による『大東亜共栄圏のクールジャパン』と併せて読みたい。
【初出メディア】
毎日新聞 2026年2月7日
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