
『太陽・惑星』(新潮社)著者:上田 岳弘
多様な人間関係描く
ひょっとしたら、いま読んでいる小説は傑作じゃないのか!と、読んでいる最中に興奮してくる作品にはめったにお目にかからない。たいていは、すでに読んだことのある風景が広がっていて、ちょっととんがった文体や気の利いたセリフが混ぜてあれば、及第点と判断することもある。本書は、上田岳弘の初めての単行本。2つの小説が収録されているが、特に「太陽」というタイトルのついている小説は、比較の対象として引き合いに出して説明することのできる作品が思いつかないくらい突拍子もない小説だ。小説に出てくる場所だけでも少し挙げてみると、アフリカの赤ちゃん工場、パリの蚤(のみ)の市、インドの湖畔……。
そこではじつに多様な登場人物たちが愛し合い、別れ、何らかの形で関係を持つ。一見関係なさそうな場所で、まるで化学反応を起こしているかのように、登場人物たちが接触するのだ。すべては、太陽のせい、金のせい……。登場人物は語り続け、交代していく。
そういえば、ロベルト・ボラーニョの短編にこんなテイストがあったかも。とにかく、スケールの大きな新人が現れたものだ。
【初出メディア】
日本経済新聞 2014年12月17日
http://www.nikkei.com/

4 時間前
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