恵まれない地域で育つと「脳の発達」が早い

14 時間前 2

思春期の脳は「整理整頓」されていく

思春期では、大きな変化が起きています。

その代表的な指標が、「大脳皮質の厚さ」と「大脳皮質の表面積」です。

大脳皮質とは、脳の外側を覆う層で、思考、判断、記憶、感情、社会的な理解などに深く関わっています。

子どもの脳は成長の中で多くの神経回路を作りますが、思春期になると、脳の構造は次第に整理され、より効率的に働く形へ変化していきます。

その一部として、大脳皮質の厚さや表面積は、一般に思春期を通じて少しずつ減少していきます。

そのため、「皮質が薄くなる」と聞くと悪い変化のように思えますが、思春期においては脳が成熟していく自然なプロセスの一部です。

ただし、これまでの研究では、この変化の仕方がすべての子どもで同じではないことも分かっていました。

家庭の収入や親の教育歴など、家庭レベルの社会経済的要因が脳の発達と関係することは多く調べられてきました。

しかし、子どもが暮らす「地域」そのもの、つまり家の外に広がる環境が、脳の発達ペースとどう関係するのかは、まだ十分に分かっていませんでした。

そこで研究チームは、アメリカの大規模な子ども発達研究であるAdolescent Brain Cognitive Development Study(ABCD研究)のデータを用いました。

対象となったのは、少なくとも1回以上のMRIデータがある11,639人の子どもたちです。

研究では、約10歳、12歳、14歳の3時点で取得された脳画像データを分析し、大脳皮質の厚さと表面積がどのように変化していくかを調べました。

また、地域環境については、「Area Deprivation Index」と「Childhood Opportunity Index」という指標を使っています。

前者は、貧困率、失業率、住宅環境、所得水準、ひとり親世帯の割合などから、地域の不利さを数値化するものです。

後者は、教育資源、医療や健康環境、緑地、汚染、暑熱環境など、子どもにとっての地域の機会を評価するものです。

さらに研究チームは、家庭の所得水準、性別、MRIスキャナーの種類などの影響も統計的に調整しました。

その結果、9〜10歳時点でより恵まれない地域に住んでいた子どもは、大脳皮質がやや薄く、表面積も小さい傾向にあり、その後の思春期における減少ペースも速いことが分かりました。

一方で、教育、健康、環境面の機会に恵まれた地域で育った子どもは、これらの脳指標が高く、変化のペースもよりゆっくりでした。

では、この「脳の発達が早い」とは、具体的に何を意味するのでしょうか。

より詳細な結果は次項で見ていきましょう。

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