「三角形にならない3本」が三角形になる場所
画家ジュゼペ・デ・リベーラが描いた絵『ユークリッド』です(J・ポール・ゲティ美術館蔵)。 どの2本を足しても残る1本より長い3本の辺は、紙に描くような平らな面(ユークリッド平面)で三角形になります。Credit: Jusepe de Ribera / Wikimedia Commons(Public domain)話の出発点は、誰もが学校で習う三角形です。
3本の棒で三角形を作るには、どの2本を足しても、残る1本より長くなければなりません。
この決まりを「三角不等式」と呼びます。
研究チームが例に挙げるのは、約1.73と約2.23という短い2本に、長い1本を組み合わせた3本の辺です。
短い2本を足しても約3.96ですが、長い1本は約4.89もあります。
ふつうに考えれば、これでは三角形は閉じません。
ところが研究チームは論文の冒頭で、「3本の辺はいつでも三角形を作れる」と言い切ります。
三角不等式を満たす3本は、私たちが紙に描く平らな面(ユークリッド平面)に収まります。
満たさない3本は、時間の向きを1本含んだ平面(ミンコフスキー平面)の上でなら、きちんと三角形になるのです。
ヘルマン・ミンコフスキーの肖像です(歴史的な文書の5ページ目の一部)。 時間の向きを1本含んだ平面は、ミンコフスキー平面と呼ばれます。Credit: Hermann Minkowski / Wikimedia Commons(Public domain)この平面では、時間方向のずれが距離を伸ばすのではなく、逆に縮める向きに数えられます。
そのため、ふつうの感覚では「長すぎる」辺を含む3本でも、角をうまく置けば三角形が閉じます。
つまり、三角不等式を満たすかどうかを見れば、その三角形がどんな空間に住んでいるかが分かるのです。
さらに研究チームは、0から1までの長さをでたらめに選んで三角形を作ったとき、ふつうの三角形とミンコフスキー三角形がそれぞれどれくらいの割合でできるかも調べています。
辺の長さをすべて空間方向に限ると、両者はちょうど半々(50%ずつ)になります。
辺に時間方向の長さも混ぜてよいことにすると、ミンコフスキー三角形は87.5%まで増えます。
研究チームの狙いは、この三角形の考え方を、私たちの住む4次元の時空にまで広げることでした。






English (US) ·
Japanese (JP) ·