多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、女性の約8人に1人というかなり高い割合で見られる、非常に身近な病気で、主に月経不順や排卵の乱れ、不妊との関連で知られてきました。
そのためこの症状は長く女性特有の病気だと認識されていて、家族内で似た体質が見られることから、主に母親の遺伝的な影響が関わると考えられてきました。
ところが近年、この病気を持つ女性の男性親族に、糖尿病や肥満、若ハゲ(男性型脱毛症)などが多いことが指摘されるようになったのです。
ここから、PCOSは現在「女性の卵巣だけの病気」ではなく、男女共に症状を持つもっと広範な病気である可能性が指摘されています。
こうした背景を受けて、オーストラリアのモナシュ大学(Monash University)のヘレナ・J・ティード(Helena J. Teede)教授らを中心とする国際研究チームは、PCOSという病気の実態を、現在の医学的知見と当事者・医療者の意見に基づいて整理し直しました。
その結果、PCOSは女性の卵巣の病気ではなく、インスリンの働きにくさ、アンドロゲン(男性ホルモン)の増加、卵巣機能の乱れなどが絡み合う、男女共に起きるホルモンと代謝に関わる全身性の病態として捉えるべきだとわかったのです。
この見方に立つと、現在の名称は実態を十分に伝えられていないことになります。
このことから「多嚢胞性卵巣症候群」という名称自体を、新たな名称「Polyendocrine Metabolic Ovarian Syndrome(PMOS)」へ変更することが決定されました。
これは日本語では「多内分泌代謝性卵巣症候群」に近い意味になります。(正式な日本語訳はまだ定まっていません)
これは病態の整理から、その実態に合わせて病名そのものまで変更するという、非常に大きな見直しです。
この研究の詳細は、2026年5月12日付で医学誌『The Lancet』に掲載されています。
Global Experts, Including CU Anschutz Researcher, Rename Polycystic Ovary Syndrome (PCOS) https://news.cuanschutz.edu/news-stories/pcos-new-name
Polyendocrine metabolic ovarian syndrome, the new name for polycystic ovary syndrome: a multistep global consensus process https://doi.org/10.1016/S0140-6736(26)00717-8







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