【分析】「侵攻」に備えるキューバ国民、米国との対立激化で長年の想定に現実味

8 時間前 2

キューバ・ハバナ(CNN) 数日前、CNNハバナ支局の入るビルの管理人が、緊急の用件で我々のドアをノックした。管理人の女性が知りたがっていたのは、米国による「差し迫った」侵攻の間も仕事に来るのか、ということだった。

米政権によるキューバへの激しい圧力は既に、日常生活の中でひしひしと感じられていた。米国の石油禁輸措置が続く中、オフィスでは1日に何度も停電が起きる。悪化する経済危機の影響で、ビルの発電機の燃料はおろか、トイレットペーパーさえ不足している状況だ。私は毎日、ロビーに置かれた巨大な人工クリスマスツリーの前を通り過ぎているが、誰ひとり片付けようとしない。

だがビルの管理人は今回、私に「上からの指示」があったと告げた。市内のあらゆるオフィスビルと同様に、このビルも国が所有しており、帝国主義者の攻撃に備えて計画を立てるよう命じられたのだという。要するに、米国の攻撃のことだ。(トランプ政権はキューバでの軍事作戦を計画しているとは述べていない)

キューバ人はあまりに長く米国の軍事行動の脅威にさらされて生活してきたため、侵攻はもはやブラックジョークの一部になっている。「クアンド・ビエネン・ロス・アメリカーノス」(米国人が来る時)というのはキューバ人特有のブラックユーモアを交えた表現で、数え切れないほどある長年の問題もいつの日か解決されるはず、程度の意味で使われる。

キューバでは今、どういった形であれ米国人がやって来るようだとの観測が現実味を帯びつつある。

CIAがキューバに到来

米中央情報局(CIA)のラトクリフ長官が今週、「米国」との文字が記された目立つ航空機でハバナを訪問したことは、多くのキューバ人に深い衝撃をもって受け止められた。緊張が臨界点に達しつつあることを示す、これまでで最も明白な兆候だ。

米国がキューバ政府にとって「悪の帝国」なら、CIA長官は堕天使ルシファーそのものだろう。CIAは1960年代、爆発する葉巻や毒を仕込んだ潜水服でフィデル・カストロ元国家評議会議長を暗殺する荒唐無稽な策略を練った機関だ。

キューバのハバナとされる場所でキューバ当局者との会合に参加するラトクリフCIA長官/CIA via X/Handout/Reuters
キューバのハバナとされる場所でキューバ当局者との会合に参加するラトクリフCIA長官/CIA via X/Handout/Reuters

キューバには、CIAによる反革命の悪行を展示することに特化した博物館も存在する。

CIAが公開した写真には、窓に遮光カーテンが引かれ、長いテーブルに奇妙なほど多くの花が飾られた儀礼用の部屋で、不機嫌な面持ちのキューバ情報機関幹部が米国側の関係者を出迎える様子が写っている。ラトクリフ氏を除き、米情報機関員の顔は身元を隠すためにぼかされている。

「歴史の皮肉の極みだ」。キューバに関する共著があるピーター・コーンブルー氏は、CIA長官による突然のキューバ訪問をこう評した。

コーンブルー氏はCNNの取材に「ラトクリフ氏の任務は、キューバに表向きは断れない『応じるか死ぬか』の提案を突きつけることだった。政治学者たちはこれを『服従外交』と呼んでいる」と語った。

キューバ政府の声明によると、キューバ側の当局者は訪問中、キューバが米国への脅威にならない理由を説明。キューバを経済危機に陥らせている石油禁輸措置を法的に正当化するトランプ政権の主張に反論した。

こうした主張は聞き入れられなかったようだ。米当局者によると、ラトクリフ氏はキューバ当局が島内にロシアや中国の通信傍受施設を受け入れ、この地域における米国の国益を損なっていると非難したという。

ここ数ヶ月の米国がキューバに対し、支援を提示しつつ経済的圧力をかける「アメとムチ」戦略を取っていたとすれば、もはや「アメ」は選択肢から外れたようだ。

キューバ当局者との会談後、ハバナにあるホセ・マルティ国際空港で米政府専用機に搭乗するラトクリフ氏=5月14日/Norlys Perez/Reuters
キューバ当局者との会談後、ハバナにあるホセ・マルティ国際空港で米政府専用機に搭乗するラトクリフ氏=5月14日/Norlys Perez/Reuters

ラトクリフ氏がハバナを離れてわずか数時間後、米連邦検察がラウル・カストロ元国家評議会議長の起訴に動いているとの情報がリークされた。カストロ氏は公式には引退しているものの、国内では今も「革命指導者」と呼ばれ、隠然たる影響力を持っているとの見方が多い。

マイアミに住むキューバ人亡命者の多くは、カストロ氏の起訴を歓迎するだろう。カストロ氏は1996年、キューバ系米国人でつくる亡命支援組織「ブラザーズ・トゥー・ザ・レスキュー」の飛行機2機が撃墜された事件に関与したとされる。もし起訴されれば、キューバと関係が近いベネズエラで1月にマドゥロ前大統領に対して行ったように、カストロ氏を拘束して裁判にかける地ならしができる。

ただ、カストロ氏は6月に95歳を迎え、付き人やボディーガードを務める孫の助けなしでは歩くことも困難な状態だ。カストロに対して何らかの行動を取れば、既にくすぶっている緊張を最終段階へとエスカレートさせ、外交関係の断絶を招く可能性が高い。たとえ公然とした衝突には至らないとしても。

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