(CNN) トランプ米大統領には、共和党が中間選挙で上下両院の過半数を維持し、大敗の予想を覆すための時間が2週間残されている。だが周囲の側近や盟友らは、トランプ氏がそれに失敗した場合に起きることに備え始めている。
政権当局者の間では、共和党が大幅に議席を失えば、政府全体で大規模な人事刷新が起きるとの見方が強まっている。トランプ氏が敗北の責任を負わせる側近を探す一方、数十人の政権幹部らも、支持率が最低水準に落ち込みレームダック(死に体)と化しつつある政権を去ることを検討している。
複数の政権当局者や顧問、トランプ氏に近い盟友らによれば、こうした不安から、かつて一枚岩の結束を誇っていたホワイトハウスは、トランプ氏の周辺で再燃する内紛やリークの中心地となっている。11月の選挙を目前にした重要な最終局面にもかかわらず、権力争いと先手を打った責任の押し付け合いが混ざり合う有害な様相を呈しているという。
トランプ氏の盟友の1人は「現代のホワイトハウスで起きたどんな状況よりも熾烈(しれつ)だ」と明かす。「ここでは誰も信用できない」
政権内部やトランプ氏の幅広い人脈の中で繰り広げられている異例の争いは、ここ2週間だけでも何度か表面化した。不信感が一段と深まり、周囲の顧問らに対するトランプ氏自身の不満も高まっている。
トランプ氏は、駐ギリシャ大使のキンバリー・ギルフォイル氏を解任した。ギルフォイル氏はトランプ氏の長男の元婚約者で、共和党の献金者が同氏からクレジットカードの支払いに充てる10万ドル(約1600万円)を要求されたと暴露したことから、政権にダメージを及ぼす報道が相次いだ。
トランプ氏は、新たに報道官に起用したケイティ・ザカリア氏も就任からわずか5日で解任した。ザカリア氏はいくつも失態をさらし、その仕事ぶりには、親しい盟友らも含めほぼ全方位から反発の声が上がった。
こうした危機が続く中、トランプ氏に最も近い側近の一部も不都合な報道にさらされている。スージー・ワイルズ首席補佐官や、政権外の政治顧問であるジェームズ・ブレア氏、クリス・ラチビタ氏に対しては、側近としての立場を疑問視する声が上がっている。
一方、3人を擁護する人々は、こうした報道の背後にはトランプ氏との関係を強化しようとするライバルたちがいると主張した。ブレア氏は報道後にも大統領専用機でトランプ氏に2度同行しており、トランプ氏が依然として中核となるチームを信頼していることを示している。
内部事情に詳しい情報筋の1人は「ジェームズやクリスに向けられた刃は、スージーを狙ったものだ」と語った。
こうした一連の目立った出来事を受け、トランプ氏の周辺では、誰が誰のことを何の目的でリークしているのかを突き止めようと競う動きが広がっている。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。政権内では、中間選挙で失敗した場合にトランプ氏の周辺で誰が責任を取らされるのか、どの高官が解任されるのか、何人の側近が辞任するのかについて、臆測が飛び交っているという。
トランプ氏の顧問の1人はCNNに対し、「下院と上院両方で過半数を失えば、何が起きるか全く分からない」と語った。「誰もが標的になり得る」
ホワイトハウスの報道官は声明で、政権内部の力学に注目することは「根拠のない臆測」だとして退けた。
選挙結果次第では、新たに権力を掌握した民主党による数カ月に及ぶ調査に直面するよりも、複数の閣僚が辞任するかどうかが決まるとみられている。いち早く議会で民主党のターゲットになると予想されるヘグセス国防長官については以前から厳しい追及を受ける可能性が取り沙汰されてきた。しかしトランプ氏は、熱心でテレビ映えするヘグセス氏を再三擁護している。
ホワイトハウス当局者の1人は、トランプ氏と政権チームは中間選挙だけに集中していると述べた。
政権では、中間選挙後にある程度の人事異動が起きるのが通例だ。中間選挙は多くの高官にとって自然な退任の節目になると同時に、大統領にとっては任期最後の2年間に向けて優先課題を見直す機会にもなる。
しかし、トランプ氏との距離の近さによって権力の大きさが測られ、忠誠心も絶えず変化する現政権では、空席が生じれば、ホワイトハウス内の力関係が劇的に変化し、政権の政策課題の行方も変わる可能性がある。
トランプ氏と話をした関係者らによると、トランプ氏は選挙後に人事刷新を行う計画を表立って示していない。また、共和党候補を応援するために自身が最近精力的に全米各地を回っていることが、議会の多数派維持に向けて好影響を与えていると楽観しているという。
しかしトランプ氏の側近や顧問の多くは依然として厳しい見方を示している。共和党が下院の過半数を失う可能性は高いと考え、現時点では敗北の大きさを抑えることに重点を移している。
一方で顧問らは上院の過半数は維持できると考えているものの、政権に対する有権者の反発と、一部の上院選候補による選挙活動の不振が重なり、議席維持が通常よりはるかに難しくなっていることに広く懸念が広がっている。
トランプ氏と話をした関係者らによると、トランプ氏もこうした難題を非公式の場で時折認めている。同氏はなぜ共和党を取り巻く政治情勢がこれほど悪いのかと疑問を呈し、党の政治戦略に不満をぶちまけている。
関係者らによれば、共和党が11月3日に大幅に議席を失った場合、トランプ氏は間違いなく責任を負わせる相手を探すだろう。そして、それがトランプ氏自身になることはない。
トランプ氏は20日、「大統領は理由が何であれ、中間選挙ではいつも負ける」と嘆いた。「私の有権者、MAGA(米国を再び偉大に)派の共和党支持者、何と呼んでもいいが、彼らが投票に行ってくれれば、われわれは大勝利を収めるだろう。しかし彼らが投票に行きたいと思わなければならない。自分が投票用紙に載っていなければ、それは少し難しくなる」

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