トイレは考古学者にとって「宝の山」だった
【発見されたノートの実際の画像がこちら】
今回のノートが見つかったのは、ドイツ西部の都市パーダーボルンです。
市庁舎の新築工事に伴う発掘調査では、近世初期の建物の下から、合計5つの中世の便所跡が確認されました。
そのうちの1つから、縦10センチ、横7.5センチほどの革表紙を持つ小さなノートが出土したのです。
普通に考えれば、トイレ跡はあまり近づきたくない場所でしょう。
実際、LWLの修復士ズザンネ・ブレッツェル氏によると、発見物には何世紀も土の中にあった後でも、なお不快なにおいが残っていたといいます。
しかし考古学者にとって、便所跡はしばしば「宝の山」になります。
木や革のような有機物は、通常なら酸素や細菌の働きによって分解され、長い年月を越えて残ることは困難です。
ところが、湿っていて空気が遮断された便所跡のような環境では、分解が進みにくくなります。
今回の便所跡も、まさにそのような保存に適した環境でした。
ノートは濡れた土の塊に包まれ、最初は目立たないものだったといいます。
しかし修復工房で慎重に洗浄されると、革の表紙、木の板、そしてろうを塗ったページから成る「ろう書板」のノートであることが分かりました。
ろう書板とは、柔らかいろうの表面に尖った筆記具で文字を刻む、中世のメモ帳のような道具です。
筆記具の反対側は平ら、またはへら状になっており、ろうをならして文字を消すことで、同じ板を何度も使うことができました。
つまり今回のノートは、中世の人が持ち歩いていた再利用可能なメモ帳だったのです。






English (US) ·
Japanese (JP) ·