
ワシントン・タイムズ映像より
By Rushan Abbas – Wednesday, May 6, 2026
先日、ワシントンの地下鉄に乗っていたとき、リュックから「LABUBU(ラブブ)」の人形がぶら下がっているのを見かけた。
その瞬間、不安な気持ちに襲われた。私にとって、あの人形は現代の奴隷制度を象徴している。それは私個人の体験でもある。
ニューヨーク・タイムズ紙による最近の独立調査で、ラブブのぬいぐるみには、私の故郷である東トルキスタン、現在は植民地であり「新疆」の名で呼ばれている地域の綿が使われていることが確認された。
その綿はウイグル人の強制労働と深く結び付いており、米国法では、すべてが強制労働によるものとされている。中国は綿の90%以上をウイグル地域から調達しており、この地域は世界の綿生産量の20%を占めている。
ウイグル人は労働力として移動を強制され、思想教育を受け、監視下に置かれた上で、自ら摘み取った綿とともに広東省などへ送られる。ラブブ製造元「ポップマート」の人形の70%はそこで製造されている。
ウイグル地域は、監視体制や国家による労働力の移動など、中国共産党による過酷な統制の手法を試す実験場となっている。こうした手法はその後、中国全土や中央アジア、アフリカ、さらには新興・途上国「グローバルサウス」諸国へと輸出されていく。
ウイグル社会は、民族的・宗教的アイデンティティーを標的にしたジェノサイド(大量殺害)政策にさらされてきた。100万人以上の子供が家族から引き離され、国営の孤児院へ送られている。女性たちは強制不妊手術を受けさせられたり、中国人男性との結婚を強いられたりしている。
中国が最近制定した「民族団結法」は、中国語教育を義務化し、強制結婚や漢族の移住を奨励する一方、すべての子供に中国共産党の政治思想教育を受けること義務付けることで、ウイグル人のアイデンティティーを消し去ろうとしている。
中国共産党は、ウイグル民族を消滅させ、大量に殺害する仕組みをつくり上げ、苦しませることで利益を得ている。その犠牲は、衣料品、農業、重要鉱物、自動車産業など、世界のサプライチェーン(供給網)を支えている。
中国は、搾取を「進歩」や「文化」という言葉で包み隠す術に長けている。例えば、ウイグル地域への「ポチョムキン村」式の見せかけの視察ツアーを行っている。プリンストン大学出版局の関係者もそうしたツアーに参加し、ウイグルの文化、言語、宗教が消し去られている圧倒的証拠が存在するにもかかわらず、この地域の「文化的多様性」を称賛した。
こうしたツアーでは、ウイグル人が歌い踊る様子が披露される。しかし、その裏では、彼らの言語は禁止され、書物は焼かれ、宗教は犯罪化されている。携帯電話のデータ収集や顔認識カメラは、発言や行動を監視する予測型警察システムに利用されている。
TikTok(ティックトック)や国営メディアは、つくられた「幸せなウイグル人」の映像を拡散し、残虐行為を覆い隠し、疑念を生じさせ、責任追及を鈍らせている。
それでも、どれほど宣伝を重ねようと、私の家族のようなウイグル人が生きてきた真実を消し去ることはできない。
2018年、私は米シンクタンク、ハドソン研究所で中国による大規模拘束について講演した。その数日後、中国共産党は私の姉、グルシャン・アッバスを拉致した。姉は、私の活動への報復として、すでに約3000日間も拘束されている。これは国境を超えた露骨な弾圧であり、米国市民である私でさえ、声を上げれば代償を払わされるという警告だ。
姉の拘束は、中国政権が最も恐れているもの、つまり真実を浮き彫りにしている。
2021年、米国はウイグル人弾圧を正式にジェノサイドと認定し、同年12月には「ウイグル強制労働防止法」を成立させた。
この法律は、輸入業者に対し、製品がウイグル人の強制労働によって生産されていないことを証明する義務を課している。しかし、ポップマートはそのような努力を一切行っていない。
ポップマートは、新疆産の綿を擁護し、アディダス中国法人が新疆との関係を断つと、「サプライチェーンを政治利用している」と非難した。ポップマートはその後、米国市場で事業を拡大し、現在では約200万人の会員を抱えている。会員はポイントを集めるために登録するが、そのデータは中国国内のサーバーに保管されている。
一方で、この醜いラブブは、ロサンゼルスからニューヨークまで、店舗や自動販売機で販売されている。
中国共産党機関紙は、中国文化が米国消費者を魅了できる証拠だと「ラブブ3.0」の成功を称賛した。さらに、ポップマートのCEOは、中国人民政治協商会議の委員を務めている。これは、世界中で影響力と宣伝工作を展開するための党主導の組織だ。
つまり、ポップマートは明確に国家支援型エコシステムの内部に位置している。
ポップマートは「品薄商法」によって限定数だけ人形を販売している。TikTokは、この人為的な品薄状態を拡散し、熱狂へと変え、消費者に、ウイグル人の強制労働によって作られた玩具へ高額を支払わせている。
ラブブは、中国共産党のソフトパワーが、米国消費者を権威主義的経済システムへいかに巧妙に組み込んでいるかを示している。
2025年7月、「ウイグル人のためのキャンペーン」は税関・国境警備局(CBP)に正式に申し立てを行い、ポップマートを調査し、「ウイグル強制労働防止法エンティティーリスト」に追加するよう求めた。しかし、いまだ何の対応も見られない。
それでも証拠は明白だ。ポップマートは調査対象とされ、米国への輸入は禁止されるべきだ。
もし、すでにラブブ人形を持っているなら、そのまま持っていてもよい。だが忘れないでほしい。それは、家族も生活も奪われたウイグル人の奴隷が手摘みした綿花によって作られたものであり、そういった犠牲の上に成り立った1つの使い捨ての流行にすぎない。
ウイグル人弾圧について沈黙することは、共犯者になることと同じだ。
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Rushan Abbas ウイグル人の自由と人権を擁護する非営利団体「ウイグル人のためのキャンペーン」の事務局長。著書に「Unbroken: One Uyghur’s Fight for Freedom」。

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