エンドルフィン説の弱点と「体内の大麻」
2015年のベルリン・マラソンを走るランナーたちで、今回の調査とは別の大会です。 長い距離を走った後の気分の高まりは、かつてエンドルフィンの働きだと考えられてきました。Credit: Denis Barthel / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)エンドルフィン説には、ひとつ弱点がありました。
エンドルフィンは大きくて水に溶けやすい分子で、血液から脳へ入る関門を十分に越えるという確かな証拠が無いのです。
代わりに浮上したのが、細胞の膜から必要なときにつくられる「体内の大麻」(内因性カンナビノイド)です。
小さく脂に溶けやすいので関門を越えられ、大麻の主な成分(THC)と同じ受け手(受容体)に働きます。
よく調べられているのは、アナンダミドと2-AGという2つの物質です。
研究チームの責任者ヨハネス・フス氏らは、2015年にマウスで手がかりをつかんでいました。
回し車を走ったマウスで不安や痛みが和らぐ仕組みは、エンドルフィンでなく大麻に似た物質の受け手に頼っていたのです。
2021年には人でも、薬でエンドルフィンの受け手をふさいだランナーが、それでもいつもどおりの落ち着きや高揚感を報告しました。
夕暮れの公園を走る人のシルエットです(イメージ写真)。 / Credit: Photo by Cara Denison on Pexels(Pexels のライセンス)筆頭著者のミヒャエル・ジーバース氏は、何時間も、時には何日も走れる人の体でこの仕組みがどう動くか知りたかったと語ります。
1つ目の調査には、マラソンを走り切れる19人が参加しました。
舞台はドイツ・エッセンのバルデナイ湖で、1周14kmのコースを3周します。
血液はスタート時と1周ごと、そしてゴールから45分休んだ後に採りました。
1〜2カ月後には同じ人たちが同じコースを、マラソンにかかったのと同じ時間だけ歩きました。
時間になると合図が鳴って折り返し、採血のタイミングも走った日とそろえています。
こうすれば、同じ人たちで、同じ時間だけ「走る」と「歩く」を比べられます。






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