【タイガー】魔法瓶の“真空断熱技術”で再生医療の「運ぶ課題」に挑む。“細胞輸送容器”を新開発、2027年実用化へ

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タイガー魔法瓶は、Gaudi Clinicalと共同で、再生医療分野における細胞輸送プロセスの高度化を目的とした小型医療検体輸送容器「真空断熱セルポッド」を新開発したと発表した。

ステンレス真空断熱技術を活用したもので、2026年4月から実証実験としてテスト運用を開始しており、その成果をもとに2027年の実用化に向けて製品改良を進めているという。

従来の細胞輸送では、大型の断熱輸送箱を専用車両で運ぶのが一般的だった。そのため公共交通機関での持ち運びや、医療機関内での取り扱いには負担が伴っていた。さらに、複数の検体を1つの容器にまとめて運ぶ「混載」の場合、検体を取り違えるリスクも懸念されていた。

再生医療の需要が高まる中、こうした運用面での柔軟性と確実性の両立が課題となっていたという。

持ち運びやすさ・温度管理を両立

セルポッドの特徴
セルポッドの特徴

タイガー魔法瓶

特長の一つは、小型化による持ち運びやすさだ。検体ごとに個別で扱えるようになったことで、専用車両に頼らず公共交通機関やハンドキャリーでの輸送も可能になった。渋滞リスクを避けられる分、定時性の向上や運用の効率化にもつながったという。

もう一つの特長が、温度管理と品質保証の高度化だ。潜熱蓄熱材の採用により、コンパクトなサイズながら20℃帯で24時間、5℃帯で11.5時間の温度維持を実現した。

フタ内部には太平洋工業製の温度ロガーを内蔵し、Bluetoothでスマートフォンと連携。輸送中の温度をリアルタイムで取得し、規定温度から外れた場合はアラートを発報する。データはクラウド上で本部が一括管理でき、輸送状況を可視化できるという。

こうした実証実験を通じて、定時性の向上や作業負担の軽減、細胞の取り違えリスク低減につながる可能性が確認された。

Gaudi Clinicalの飛田護邦社長は、再生医療を確立した医療として普及させるには、細胞の品質を保ったまま安全に運ぶ技術が欠かせないと指摘。今回の輸送容器は配送プロセスの効率化を大きく前進させるものであり、持ち運びやすさと厳格な温度管理を両立させたことで、医療現場の負担軽減とスムーズな治療提供につながるとしている。

タイガー魔法瓶は2023年に創立100周年を迎えた。同社は今回の取り組みを、祖業である真空断熱技術を再生医療分野へ展開する一歩と位置づけている。

魔法瓶の“真空断熱技術”を家庭用品以外へ

タイガー魔法瓶の公式サイトによれば、売上高は491億円(2026年4月20日時点)。新卒採用サイトでは、2024年度に472億円、4年連続の増収だったとしている。

同社は近年、真空断熱技術を家庭用品以外の分野にも広げてきた。2018年には国際宇宙ステーション(ISS)から実験サンプルを保冷状態で持ち帰る「真空二重断熱容器」を開発してJAXA初のミッションに貢献し、2021年には地球からISSへの往復輸送に対応した第二フェーズの容器開発にも成功している

ほかにも、デンソーとのハイブリッド車用エンジン冷却水蓄熱システムの共同開発、検体・試薬などの医療輸送、南極実証を経た高断熱住宅パネルなど、産業分野への展開を重ねてきた

タイガー魔法瓶はすでに、JAXAベンチャーのツインカプセラと連携し、宇宙開発の技術を応用したバイオメディカル物流向けの次世代断熱容器の開発も進めている。宇宙・自動車・医療・住宅へと技術転用を重ねてきた延長線上に、今回の再生医療向け容器も位置づけられる。

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