鏡の前で「自分の動き」を確かめるシロイルカ
研究の対象となったのは、ニューヨーク水族館で一緒に飼育されていた4頭のメスのシロイルカです。
そのうち3頭のキャシー、マリーナ、ナターシャは野生由来の個体で、もう1頭のマリスはナターシャから生まれた水族館生まれの個体でした。
シロイルカは、非常に社会性の高い海洋哺乳類です。
大きく複雑な脳を持ち、仲間と音でコミュニケーションを取り、人間やハンドウイルカなど、ほかの種の音を自発的にまねることもあります。
つまり、シロイルカはただ群れで暮らすだけでなく、「他者の行動を見て、それに合わせる」能力に優れた動物なのです。
そこで研究チームは、シロイルカにも鏡による自己認識があるのではないかと考えました。
実験では、プールの観察窓を一方向ミラーのように使い、シロイルカたちが自分の反射像にどう反応するかを調べました。
重要なのは、シロイルカたちを普段の仲間から引き離さず、いつものプールで実験した点です。
社会的な結びつきの強い動物を一頭だけ別の場所に移せば、鏡への反応ではなく、孤立によるストレスが出てしまう可能性があります。
そのためチームは、できるだけ普段に近い環境で観察を行いました。
すると、4頭のうちナターシャとマリスの2頭が、鏡の前で特徴的な行動を見せました。
マリスの実験映像がこちら。
頭を上下に動かしたり、左右に振ったり、体を回転させたり、胸びれを動かしたりしたのです。
さらに、噴気孔から泡を出し、その泡を噛むような行動も見られました。
チームは、これらの行動を、鏡の中の像が自分の動きと連動しているかを確かめる「随伴性テスト」のようなものだと解釈しています。
私たちが鏡の前で変な顔をして、「これは自分だ」と確かめるのに少し似ています。
少なくともナターシャとマリスは、鏡に映った相手を単なる別個体として扱っていたわけではなさそうでした。






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