(CNN) アカデミー賞授賞式のレッドカーペットは通常、授賞シーズンの装いの頂点と見なされている。スターたちが3月に会場で何を着るかは、タレント事務所、スタイリスト、ブランドの間で何カ月にもわたり交わされるビジネス交渉の集大成だ。ブランドは数百万回もの閲覧を獲得し、うまくいけば俳優たちは移り変わりの速い業界での存在感を確固たるものにし得る。
だが、その苦労が過ぎれば、つまり契約が成立し、写真が公開され、デザイナーの名前がタグ付けされれば、セレブたちはいわばネクタイを緩め、もっと楽な服装に身を包むことができる。
アカデミー賞授賞式が15日夜に幕を閉じると、スターたちはロサンゼルス・カウンティー美術館に続々と繰り出した(バニティ・フェア誌主催のアフターパーティーは今年初めて開催場所を移した)。参加者の一部の装いはセクシーかつ風変わりで、ほぼR指定のそのいでたちは、まるでファッションの分水嶺(ぶんすいれい)のようだった。アカデミー賞授賞式が「トラッドワイフ(伝統的な妻)」の装いのバリエーションを伝えたとすれば、アフターパーティーを支えたのは21世紀のセックスアピールだった。

「ヒーテッド・ライバルリー」で共演したコナー・ストーリーとハドソン・ウィリアムズは、それぞれ胸元が透けて見えるメッシュのブラウスを着用/Amy Sussman/Getty Images for Vanity Fair

ジェフ・ゴールドブラムと妻のエミリー・リビングストンは、アフターパーティーを支えた21世紀のセックスアピールを体現した/Jean Baptiste Lacroix/AFP/Getty Images
昨年の主演女優賞を受賞したマイキー・マディソンは、服を脱ぎかけた瞬間を捉えたようなドレスで現れた。腰の部分でルーシュになったシャンパンカラーのスカートは、まるで上半身部分のファスナーが下ろされ、誘惑するかのように黒いメッシュのコルセットをあらわにしたようだった。ドレープの効いたファーボアをまとって魅惑的なポーズで写真撮影に応じたジェフ・ゴールドブラムと妻のエミリー・リビングストンは、別種のパーティーへ向かう途中で迷い込んだかのように見えた。リビングストンはカリフォルニアのブランドERLアーティザナルのタイツとTバックのレオタードを着用していた。
レナーテ・レインスベは、ミニマルな90年代風のルイ・ヴィトンのドレスから、同ブランドの透け感のある薄いメッシュドレスに着替えた。一方、「ヒーテッド・ライバルリー」で共演したコナー・ストーリーとハドソン・ウィリアムズは、それぞれ胸元が透けて見えるメッシュのブラウスを着用し、ストーリーはそれにファーのストールを合わせた。

マイキー・マディソンは、服を脱ぎかけた瞬間を捉えたようなドレスで登場/Neilson Barnard/Getty Images

レナーテ・レインスベは、ミニマルな90年代風のルイ・ヴィトンのドレスから、同ブランドの透け感のある薄いメッシュドレスに着替えた/Jean Baptiste Lacroix/AFP/Getty Images
近年このアフターパーティーは、ファッションという点でアカデミー賞のレッドカーペットと競り合う存在になっている。ここでの装いは、規範に従うというよりも自己表現的に感じられた。アカデミー賞で期待される伝統的なドレスやスーツに窮屈さを感じているかもしれないトップスターたちが、気を緩めているように見えたからだ。パーティーがテレビ放送されないことが、スターたちを大胆にさせているかもしれない。セレブたちは、何千万ものテレビ視聴者に向けて衣装の不具合が放送されたり、よりきわどい装いを評論家に生中継で論じられたりする心配をせずに済む。同様に、招待客が多いということは、服装で物議を醸そうとする参加者も増えるということだ。その結果、よりセクシーになるだけでなく、全般に風変わりになる傾向がある。

レッドカーペットの装いで話題作りが得意なジュリア・フォックスは、ヴィクター&ロルフのシュールレアリスム風ドレスを着用/Amy Sussman/Getty Images for Vanity Fair

カーラ・デルビーニュは男性の胴体を描いたトロンプルイユ(だまし絵)柄でネイキッドドレスにひねりを加えた/Neilson Barnard/Getty Images
例えば、アニャ・テイラージョイは意外性を選んだ1人だった。床まで届く優美なドレスの代わりに、ジョン・ガリアーノがディオールの1994年秋冬コレクションで手がけたショート丈のブラックのプレースーツと、きっちりと固定されたリボンのようなヘッドピースを身に着けたテイラージョイは、別の時代の舞台俳優のようだった。話題を呼ぶ装いを選ぶのが得意なジュリア・フォックスは、ヴィクター&ロルフのシュールレアリスム風ドレスを着用。誇張された肩のラインは「不思議の国のアリス」のような雰囲気を与えていた。
だが、アフターパーティーの空気感を最も体現していたのは、おそらくカーラ・デルビーニュがまとったトム・ブラウンのネイキッドドレスだろう。ドレスには、赤・黒・白のクリスタルで男性の胴体を描いた、反逆的なトロンプルイユ(だまし絵)柄が施されていた。それはばかばかしく、セクシーで、何より、アカデミー賞授賞式では目にすることのないものだった。
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原文タイトル:At the Oscars after-party, stars slip into something more sensual(抄訳)

1 ヶ月前
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