NHKは5月20日、日本文化の発信とコンテンツの海外展開強化のため、大河ドラマや連続テレビ小説など過去のドラマ19作品を、Netflixで世界配信することを発表した。
第1弾配信の『軍師官兵衛』や『まんぷく』など6作品の選定から透けてみえるNHKの狙いはどのようなものだろうか。
『軍師官兵衛』『まんぷく』『昭和元禄落語心中』など6作品
今回の配信は2年半ぶりの再開にあたる。2022年にNetflixのCM付きプラン導入により、NHKがCMを流しているという誤解の恐れがあるとして、23年10月以降は番組提供を停止していた。朝日新聞によれば、再開後はすべてのプランでNHKのコンテンツではCMが流れない形で配信される。
Netflixでは2026年度中にNHKドラマ19作品を世界190以上の国と地域で配信する予定だ。6月22日からの第一弾の配信はその中から、『軍師官兵衛』『まんぷく』『東京サラダボウル』『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』『昭和元禄落語心中』『宙わたる教室』の6作品となる。
この並びに、ネットではそれぞれの作品ファンからも世界へ届くことについて歓迎の声が上がった。その一方で、日本での人気が高かったNHK作品とのズレを感じるという声も。
海外展開強化を狙うNHKの思惑とはどのようなものだろうか。『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)などの著書があるエンタメライターの田幸和歌子さんに読み解いてもらった(以下、田幸さんの寄稿)
岡田准一さん『官兵衛』がタイミングとして最適な理由
第1弾6作品の選定からは、NHKの海外展開の狙いを単純な「日本での人気作の海外発信」とは違うロジックで読み解けると思います。
まず、世界市場の追い風。2024年に『SHOGUN 将軍』がエミー賞18冠を獲得して戦国時代ドラマの世界的需要が証明され、2025年11月にはNetflix独占配信『イクサガミ』(岡田准一さん主演)が大ヒットしてシーズン2制作も決まりました。岡田准一さん主演の戦国もの『軍師官兵衛』を出すタイミングとしては最適。
選ばれた作品にはほかにも共通項があります。
『まんぷく』は世界中で食べられているインスタントラーメンを生んだ日清食品創業者・安藤百福夫妻がモデルで、海外視聴者にとっての入り口が明確。
『東京サラダボウル』は多文化共生、『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』はダウン症のある弟役をダウン症の俳優・吉田葵さんが演じる、日本ドラマ史上極めて稀(まれ)なインクルージョン作品です。
『昭和元禄落語心中』はBL要素のある雲田はるこさんの漫画が原作で、アニメ化を経て海外でも認知されており、「落語」という日本独自の伝統芸能の見せ場も大きい。
『宙わたる教室』は定時制高校の科学部に集う多様な背景の生徒たちの物語です。
しかも、「ドラマ10」枠(※NHK22時台の連続ドラマ枠)の3作品(『東京サラダボウル』『宙わたる教室』『家族だから〜』)は、いずれもギャラクシー賞などの受賞作で、「賞作品で世界に出す」という選定基準が見えます。
NHKエンタープライズの企画者がそれぞれ制作統括として深く関わっている点も興味深いです。
来年以降の大河の作り手たちの過去作で海外反応を見る
最後にもう一点。『軍師官兵衛』のプロデューサーだった勝田夏子さんは2027年大河『逆賊の幕臣』(松坂桃李さん主演)の制作統括、『東京サラダボウル』を立ち上げた家冨未央さんは2028年大河『ジョン万』(山﨑賢人さん主演、19世紀の日米と太平洋が舞台)の制作統括という座組です。特に『ジョン万』は明らかに海外を意識して企画された大河。
これから世界に出していく作品をつくる作り手たちの過去作の海外での反応を見る、観測気球的な意味合いもあるのではないかと感じます。

2 時間前
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