
1980年に誕生したCNNは、世界で初めて「24時間ニュース」を実現し、戦争や災害、歴史的事件をリアルタイムで伝えることで、現代の報道のあり方を大きく変えてきました。その創業者であるテッド・ターナー氏の死去と時を同じくして、現在のCNNは買収問題によって“報道の独立性”が揺らぐ局面を迎えています。メルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』の著者でジャーナリストの引地達也さんは、CNNが築いてきた24時間ニュース文化の功績を振り返るとともに、現在進行している買収問題や、報道の自由・情報の民主化への影響について考察します。
米CNNの創業者ターナー氏死去、買収による報道の独立性への心配
外国メディアのニュースを目にする時、イランの首都テヘランの風景が時折、目に飛び込んでくる。
米CNNで伝えられたのは、市街地のど真ん中にある青い海を力強く掴み、握りしめる巨大な壁画。
それは、ホルムズ海峡は自らの手中にあると言わんばかりの表現で、イラン国民の自尊心を鼓舞しているようだ。
米国・イスラエルとイランの戦争報道は、多くは攻撃を始めた米国の主張を中心に語られているように見えるが、そもそもメディアで伝えられる戦争に平等性は存在しない。
ニュースの発信地や媒体によって、現象の解釈は変わるから、一方の見方を提供するに過ぎない。
それでも公平に近い報道を心がけている媒体を探してファクトを見極めようとする行動は欠かせない。
米国の場合、トランプ政権に批判的である米CNNが選択肢のひとつであろう。
その米CNNは買収問題で報道の独立が脅かされており、その渦中に創業者のテッド・ターナー氏が亡くなった。
ターナー氏は1980年に24時間、ニュースを放送し続ける世界初の放送局「ケーブル・ニュース・ネットワーク(CNN)」を立ち上げた。
当初、成功は難しいとの批判を受けるが、1981年のロナルド・レーガン米大統領への暗殺未遂事件での迅速な報道、1986年のスペースシャトル「チャレンジャー」事故ではその瞬間を全世界に知らせ、また1990~1991年の湾岸戦争で米軍のミサイル攻撃やイラクの首都バグダッドでの戦況を生中継で伝えた。
CNNが作った「24時間ニュース文化」は、ヨーロッパで1993年に「ユーロニュース」を誕生させ、韓国では現在のYTNを設立させた。
インターネットが広がる前に、24時間いつでもニュースを報じる文化は、情報を即座に市民に伝えるというニュースの民主化を形にしたものだった。
しかし日本では広まらなかった。
この記事の著者・引地達也さんのメルマガ
CNNは米国だけではなく、アジアや中東にも広がり、ユーロニュースは欧州中心に15言語、180か国に対応している。
ケーブルテレビのネットワーク化が進んでいた韓国でも24時間ニュースの定着は早かった。
米国国内でもニュース専門局は続々誕生し、その中にはターナー氏のライバルであるルパート・マードック氏が1996年に立ち上げた米FOXニュースもある。
米FOXニュースは保守的であり、トランプ政権に肯定的で反CNNの立場である。
そのCNNは現在買収の最中にある。1996年に当時、CNNの親会社がメディア大手のタイムワーナーに買収され、現在はワーナーブラザーズ・ディスカバリー傘下にある。
今回の買収は、パラマウント・スカイダンスによるもので、オーナー一族はトランプ氏を支援し続けてきた。
トランプ政権でもリベラルな姿勢を保つCNNをトランプ大統領はこれまで「フェイクニュース」と批判してきた。
パラマウント・スカイダンス参加の放送局CBSもトランプ大統領の影響下に置かれたことで、保守的になったとの指摘は多い。
今回の買収はまだ完了はしておらず、米司法省の審査等の手続きがある。
ニュースやプログラムに関する編集の独立性を維持できるのか、関係する人事に透明性を確保できるかなどが焦点になりそうだ。
「CNN効果」との言葉は報道が政策決定に与える影響を意味するもので、その報道が迅速に正確に伝わっていることが前提にある。
その迅速さは、時には「起こったもの」ではなく「起こっている過程」を報道することにもなり、その映像や報道のインパクトは視聴者・市民の心を揺さぶり、行動を促すことにもなる。
それは、ニュースの民主化でもあり、CNNは市民が情報を得ることが保証する重要な媒体だ。CNNの行き末は、私たちのニュースや情報の民主化を左右することになるだろう。
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