
国会議員が持つ政治力と、国民の税金を原資とする自治体への予算配分。その両者を結びつけるかのような発言を現職閣僚が口にしていたことが発覚し、大きな問題となっています。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、対立候補を支援した自治体の道路予算を巡る簗和生農水相の発言と、実際の交付金額を詳細に検証。さらに簗氏の小選挙区での落選から農水相就任までの経緯を振り返りつつ、不祥事を抱えた閣僚を続投させる高市政権の対応を疑問視しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:居座り続けるイヤナ大臣
「建設業協会のメンバー脅し」まで自慢げに話していた簗大臣
ま、そもそもの話として、簗氏は2月の衆院選の街頭演説でも「政権与党の議席がなくなった地域の予算はごっそりと削られます」「与党の議員のいない地域は役所も官僚も遠慮なしに予算を削ります」「与党の議員がいなくなるとこの地域に付いてる予算がガクッと減りますよ」「政権与党の簗和生のパイプを使わない理由はないのです」などと連呼していました。何だかドナルド・トランプ大統領の劣化版のようですね。
また、簗氏の後援会のYou Tubeチャンネルも、選挙中は「無所属や野党では3区の予算はカットされる」というタイトルの動画を拡散していました。そして、その結果、比例でゾンビ復活したとは言え、簗和生氏は小選挙区で敗北を喫したのです。すると、選挙中に自身がさんざん連呼していた通りに、簗氏を敗北させた2つの自治体の道路予算が大幅カットされたのです。
この道路予算の大幅カットを受けて、那須烏山市の川俣純子市長は、拡張する予定だった団地周辺の道路の計画が延期になってしまったと述べた上で、簗氏に対しては「選挙の腹いせだとしたらちょっと子どもの喧嘩のような感じがする」と指摘しました。また、那珂川町でも道路予算の大幅カットによって、東部地区の町道や上郷須賀川線の工事など、計画していた工事が発注できなくなったと言っています。
また、公開された音声データには、簗氏が建設業協会のメンバーを脅したことを自慢げに話している以下のような場面も残っていました。
建設業協会のメンバー2人に「私ども(自民党)に頼らない」「私がいらない」と言って、無所属の議員(渡邊真太朗氏)を応援するのであれば「私が付けている予算を何で受注するんだ」とはっきり言ってやりました。私は今、筆頭副幹事長という立場なので「幹事長室にちょっと来てくれ」と言えば、こんなこともできるんですね。自分の力をひけらかしてやるのです。
百歩ゆずって、簗氏の弁明の通りに、国交省への働きかけなど行なっていなかったとします。事前に国交省の内示額を確認して、あたかも自分が働きかけを行なったかのように狂言を演じたのだとします。仮にそうだったとしても、これが国政に関わる国会議員のやることでしょうか?嘘をついて地元の有権者を脅すだなんて、国会議員以前に人として最低です。
先ほどは「ドナルド・トランプ大統領の劣化版のようだ」と書きましたが、トランプ大統領は「民主党が勝ったら全国民に5,000ドル(約77万円)を支給する」だの「2,000万人を超える高齢者に90ドル(約1万4,200円)を振り込む」だのと「公開買収」とも言えるバラマキを連呼しています。これはこれで最低ですが、簗氏は有権者を脅して支給すべき予算を大幅カットするなどと脅したのですから、トランプより遥かに悪質です。
さらには、10月2日の当初の会見では「大臣就任前の一議員としての活動に関わる事柄なので大臣としてのコメントは控えたい」と20回も連発して、記者からの質問に1ミリも答えなかったのです。一議員の時だったとしても、国民の税金から報酬を受け取っている公人なのですから「大臣としてのコメント」は控えても「一議員としてのコメント」をするのが責任と言うものです。
そもそも「大臣になる前なら何をしていても説明する義務などない」だなんて、一体どこの誰が決めたのでしょうか?こんなバカな話、あたしは聞いたことがありません。宿題を忘れた小学生でも、もう少し上手な言い訳をしますよ。こんな詐欺師みたいな人物が日本の一次産業を統べる省庁のトップだなんて、まるで悪夢です。
この記事の著者・きっこさんのメルマガ
夢にまで見た大臣のイスに座って2週間もしないうちに出たボロ
高市首相は何かにつけて「国益が」「国益が」と口にしますが、これほど国益を損ねる大臣は前代未聞です。高市首相自身も就任早々、中国にケンカを売って、すでに数兆円規模で国益を損ねているのですかせ、せめて自分が任命する大臣くらいは、もう少しマトモな人物を選ぶべきです。本当に日本の国益を考えるなら、百害あって一利なしの簗氏など1日も早く更迭すべきです。しかし残念ながら、高市首相にその気はないようです。
簗氏は自民党内で高市首相を支える保守派グループのメンバーで、以前から高市首相にはシッポを振って忠誠を誓って来たため、非常に可愛がられています。その挙句が今回の異例とも言える初入閣だったわけですが、夢にまで見た大臣のイスに座って2週間もしないうちにボロが出てしまったわけです。しかし簗氏は5日の会見で「国交省への働きかけ」とともに「農水大臣の辞任」も否定しました。
簗氏は辞任を否定した理由について「高市首相から『引き続き農林水産行政の推進に向けて全力で仕事をせよ』というご指示をいただいた」と述べたのです。ま、大臣が辞任したら次は高市首相の「任命責任」が問われますから、ここはそうとう無理があっても嘘に嘘を塗り重ねて踏ん張る場面です。
でもこれ、もはや完全に自民党政権の閣僚が不祥事を起こした時の既定路線になっちゃってますよね?不祥事を起こした大臣が「一生懸命に大臣としての仕事をすることで信頼を取り戻したい」っていうこのインチキロジック、そろそろいい加減にしてくれませんか?一見、反省してるかのように見せつつ、実際は自分の不祥事を「なかったこと」にする便利な屁理屈。こんなの民間企業じゃ1ミリも通用しませんよ。
つーか、あたしは、自民党がこんなふざけた屁理屈をさも当然のことのように繰り返して来たせいで、自分がパワハラで辞職したために行なわれる市長選に「加害者である私だからこそ行なえる対策がある」などと抜かして出馬するバカが出て来るのだと思います。仮にも有権者から選ばれた市民の代表が、市民から与えられた権力を悪用して数多くの部下に日常的にパワハラを繰り返していたなんて、どの角度から見ても一発退場のレッドカードじゃないですか?
それなのに、言うにことかいて「加害者である私だからこそ行なえる対策がある」って、はぁ?本当に自分が加害者だと自覚して反省しているのなら「自分にできること」を考える前に、まずは「自分がすべきこと」を考えなさい。分からないならあたしが教えてあげましょうか?人として最低の行為を繰り返して来た加害者であるあなたが最優先すべきこと、それは「二度と被害者たちに近づかないこと」なのです。
(『きっこのメルマガ』2026年10月7日号より一部抜粋・文中敬称略)
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