米国防長官の銃殺刑ライブ配信計画、与野党から批判相次ぐ バンス氏「私は見ない」

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2026.10.10 Sat posted at 15:24 JST

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ニダル・ハサン死刑囚/Bell County Sheriff's Office/Getty Images

ニダル・ハサン死刑囚/Bell County Sheriff's Office/Getty Images

(CNN) 米テキサス州フォートフッド基地で銃乱射事件を起こした男の銃殺刑をライブ配信する――。ヘグセス米国防長官の8日の発表に対し、与野党双方から直ちに批判が寄せられた。公開処刑の実施方法を巡っても疑問の声が上がっている。

近年でこそ薬物注射に代わる方法として少数の採用例があるものの、米国で銃殺刑はまれで、死刑執行を一般公開するとなるとさらに異例だ。公開処刑が最後に行われたのは1936年、レイニー・ベシア死刑囚の絞首刑だと考えられている。ベシア死刑囚はケンタッキー州出身の黒人で、白人女性をレイプしたとして、白人のみで構成された陪審から有罪評決を言い渡された。

それから約90年後の12月3日午後1時(現地時間)、フォートフッド基地でのニダル・ハサン死刑囚の処刑が一般国民に公開される。ハサン死刑囚は2009年の銃乱射事件で13人を殺害した。

ヘグセス氏は7日、米空母エイブラハム・リンカーンの艦上で極右のポッドキャスターのインタビューに応じ、「人々が視聴できるよう、確実に公開する。この種の行為には重大な結果が伴うことを理解してもらう必要があるからだ」と発言した。

ただ、バンス副大統領は9日、実際にライブ配信されるかどうか疑問を呈し、「本当にそうなるかは分からない」とコメント。仮にライブ配信されても、自分は見ないと付け加えた。

トランプ大統領は9日夕、記者団に対し、ライブ配信については政権が決定すると述べた。

米連邦通信委員会(FCC)のブレンダン・カー委員長は米CNBCの番組で、死刑執行がテレビ放送されることはないと理解しているとしつつも、「今後の対応についてはヘグセス氏の判断」に委ねる考えを示した。

米コーネル大ロースクール死刑研究プロジェクトの副責任者、シェリ・リン・ジョンソン氏はCNNの取材に、これまでも報道関係者や弁護士、場合によっては家族の立ち会いは認められてきたが、一般公開すれば死に対する感覚を鈍感にさせかねないと指摘する。

ジョンソン氏は「これはとりわけ、極めて暴力的な形で人の死をたたえるものだ。処刑される人の尊厳を一段と傷つけるとともに、殺人や人の命を奪うことは間違っているという人々の感覚をまひさせてしまうのではないか」と語った。

銃殺刑とは?

ヘグセス氏によると、ハサン死刑囚の刑は「米兵がライフルで」執行する。

CNNは米国防総省に対し、執行を担当する兵士は誰で、どうやって選ばれるのか、誰がライブ配信を行うのかなど、運営面に関していくつか質問した。国防総省は詳しいことが分かり次第、詳細を提供するとしている。

軍での死刑執行やその方法には、大統領の承認が必要となる。トランプ氏は今週、ハサン死刑囚の銃殺刑を求めたヘグセス氏の勧告を承認した。米陸軍が兵士を銃殺刑にするのは第2次世界大戦以来、米軍要員に対する死刑執行自体も65年ぶりとなる。

米非営利団体「死刑情報センター」によると、米国で1977年以降に執行された銃殺刑は6件のみ。このうち3件は昨年、サウスカロライナ州で執行された。それ以前の例からは15年ぶりだった。

米国では、死刑制度を維持する州の一部が薬物注射に代わる執行方法を模索しており、銃殺刑がまた復活する可能性もある。現在の米国で圧倒的に多いのは薬物注射だ。

薬物注射による死刑執行をめぐっては、各地の州が様々な問題に直面している。死刑囚からの訴訟や薬剤不足に加え、最近テネシー州で刑の執行を受けながら生き延びたクリスタ・パイク死刑囚のケースのように、執行が失敗する場合もある。専門家によると、これに比べ、銃殺刑は短時間で確実に執行できる方法との見方が一般的だという。ただ、暴力性があからさまなこともあり、州は採用に消極的になっているとみられる。

死刑情報センターによると、銃殺刑を認めている州はわずか5州。アイダホ州では今年7月の時点で、銃殺刑が主要な死刑執行方法となっている。

公開処刑を行う国はごく少数

死刑に反対する国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの報告書によると、アフガニスタンとイランでは近年、公開処刑が実施された。2025年はアフガニスタンで6件、イランで11件だった。

アムネスティは今年、聞き取り調査の結果、北朝鮮でも「地域社会全体に恐怖を植え付けて服従させる」ため、公開処刑が行われていることが判明したと明らかにした。

「米国はそんな国ではない」、与野党から批判相次ぐ

ハサン死刑囚の公開処刑が発表されると、与野党双方から批判が寄せられた。公開処刑が一般的な権威主義国家のようなことを米国がすべきではないとの声が上がっている。

退任を控える共和党のトム・ティリス上院議員はX(旧ツイッター)に、「公開処刑はイランやアフガニスタンのような抑圧的な独裁国家がやることだ。米国で行うべきではない」と投稿した。

共和党のオースティン・スコット下院議員も同様の懸念を示し、死刑制度には賛成だとしつつも、「処刑をライブ配信するのはジハード(聖戦)主義者の手口だ。米国はそんな国ではない」と述べた。

共和党のジョン・カーティス上院議員はXで、古代ローマで行われていた「血なまぐさい見せ物」に言及。「処刑を娯楽として楽しむ風潮を育てれば、文明は衰退する」と投稿した。

民主党のクリス・マーフィー上院議員も、公開処刑の計画を「おぞましい」「中世さながらだ」と非難した。CNNの番組でヘグセス氏に触れ、「ISIS(過激派組織イラク・シリア・イスラム国)の処刑をまねているのか」と疑問を呈した。

米カトリック司教協議会のポール・コークリー会長は、「死の文化を助長する野蛮な行為」だと形容。 「たとえ重大な危害を加えた人物であっても、公開処刑は我が国の道徳的基盤をさらに損ない、国民の良心に汚点を残すだけだ」と説いた。

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