米倉涼子「書類送検」報道。その言葉、実はマスコミ用語。逮捕との違いは?【解説】

3 ヶ月前 13

フジテレビは1月20日、俳優の米倉涼子さんが麻薬取締法違反などの容疑で書類送検されたと報じた。

関東信越厚生局麻薬取締部が2025年夏頃、違法薬物に関与している疑いがあるとして関係先を捜索しており、東京地検が今後、処分を検討するとみられるという。

書類送検とは何なのか。逮捕とはどう違うのか。事件取材の経験のあるハフポスト日本版の記者が解説する。

書類送検⇨実は「マスコミ」用語

書類送検とは、地検が刑事処分を判断する前の段階のことを指す。しかし、この言葉自体はマスコミ用語であり、法律用語ではない。

被疑者の身柄などを検察官に送る「送致」と、告訴や告発があった場合に書類を検察官に送る「送付」の両方の意味で、「送検」と使われている。

今回のケースでいえば、法律上は「送付」となる。

刑事訴訟法242条には、「司法警察員は、告訴または告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類および証拠物を検察官に送付しなければならない」とある。

つまり、「書類送検=起訴された」わけではないということだ。

時々誤解している人を見かけるが、起訴はあくまで検察官に与えられた権限で、検察は起訴・不起訴を決定するための捜査を行う。

また、犯罪捜査規範195条には、「事件を送致または送付するに当たっては、犯罪の事実及び情状等に関する意見を付した送致書または送付書を作成し、関係書類および証拠物を添付するものとする」とある。

例えば、警察は送付するにあたり、①厳重処分(起訴してほしい)②相当処分(起訴・不起訴の判断を委ねる)③寛大処分(起訴猶予が相当)④しかるべき処分(起訴を求めない)のいずれかの意見を添付する。

ただ、前述の通り、起訴はあくまで検察官に与えられた権限であることは理解しておく必要がある。

メディアが報じる理由とは

では、なぜこのような段階でメディアは報じるのか。

理由の一つに、「書類送検を報じることが特ダネとしてカウントされる」ことがある。

各メディアの記者は、警察の庁舎内にある記者クラブで取材をすることが多い。

記者クラブには日々、被疑者の逮捕から防犯活動まで様々な「紙」(発表文)が投げ込まれる、という背景がある。

記者はその紙をもとに担当課などに取材して記事を書くが、発表されたものを書いているだけでは社内で評価されない。

紙で発表される前に書いたり、そもそも発表されないものを書いたりすることが重要で、そのために記者は朝から夜まで捜査幹部の自宅を訪れて、非公式に取材する「夜討ち朝駆け」を繰り返す。

そして、今回のような送付事案は、基本的に警察から発表されることはない。

だからこそフジテレビは「書類送検したことが『わかった』」と、特ダネを報じる際の書き方で発信している。

特ダネとして報じられているため、「抜かれた」各社は当然“後追い報道”することになる。

つまり、競争意識に駆られた報道合戦という意味合いも大きいのだ。

一方、警察が「しかるべき処分」を付けている場合など、不起訴となる可能性が高い意見だったことが取材で判明した場合は、あえて報じなかったり、「不起訴の見込み」と書いて報じたりすることもある。

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