福島・甲状腺検査、ハフポスト報道受け「倫理審査の射程外」を委員が指摘。検討委員会で県側に説明要求も回答保留

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福島県が県立医科大学に委託し、2011年10月から実施されている甲状腺検査。

研究計画書が2020年に変更され、検査の問題を巡る議論が倫理審査委員会の“審査の射程”から外れる構造になっていたことを報じたハフポストの記事が、検討委員会の議論に波及した。

7月30日に福島市で開かれた県主催の有識者会議「福島県県民健康調査検討委員会」で、この記事をもとに委員が県側に説明を求める一幕があった。

県側はその場での明確な回答を避け、次回改めて答える運びとなった。

経緯を振り返る

福島県で行われている甲状腺検査では、放置しても生涯にわたって何の害も出さない病気を見つけてしまう「過剰診断」などの問題が指摘されている。

特に、検査が学校の授業時間内に行われていることについては、「子どもが参加を断りにくい状況が生まれる」「任意性が欠如している」などと、複数の専門家が“医学倫理的に問題がある”と声をあげている。

福島県立医大への公文書開示請求で入手した資料をもとに、甲状腺検査の研究計画書が2020年に変更されていたことを報じた。

具体的には、県立医大の倫理審査委員会が同年3月に許可した研究計画書は「甲状腺検査そのもの」を研究対象としていたが、同年9月に許可された研究計画書は「(検査で得られた)データの分析」へと、対象が様変わりしていた。

過剰診断や学校検査を巡る問題が指摘されているのは「検査そのもの」だ。

記事では、研究内容がデータ分析へと様変わりしたことで、検査の問題が建て付け上、倫理審査委員会の“審査の射程”から外れる構造になったと問題提起。

また、このような構造になったことで、「過剰診断や学校検査の任意性といった問題が、県の検討委員会で適切に扱えるかどうかが問題になる」とする研究倫理の専門家の指摘も伝えた。

2020年3月の研究計画書は「甲状腺検査」、同年9月は「データを利用した観察研究」になっている
2020年3月の研究計画書は「甲状腺検査」、同年9月は「データを利用した観察研究」になっている

Huffpost

委員が記事を読み上げ質問するも…

7月30日の検討委員会で、ハフポストの記事を元にした質問が出たのは終盤だった。

公益社団法人日本産科婦人科学会推薦の室月淳委員が、ハフポストの記事の一部を読み上げた上で、福島県立医大に「2020年に研究計画書が大幅に変更され、(以降は)データの分析を研究対象とするというのは事実か」と質問した。

これに対し、検討委員会の重富秀一座長は「検討委員会の議事の内容に関する質問ではない。記者会見ではないので、とりあえず一言だけ。それで終わりたい」と述べた。

県立医大の安村誠司・放射線医学県民健康管理センター長も、「報道に関しての部分的な紹介なので全体がわからない。安易に回答するのは適切ではないため、質問内容によって別途しっかり対応する」と答えるにとどめた。

室月委員はさらに、「今まで『甲状腺検査は倫理的に大丈夫か』ということに関して、『県立医大の倫理委員会で承認されているので』という話だった」と指摘。

その上で、検査に関する方法や妥当性を倫理審査委員会で議論できていないのであれば、事業の倫理性を検討する場が別途必要になるとし、「その場はどこになるのか」と問いただした。

これに県が「甲状腺検査のあり方は検討委員会で決める」と回答すると、重富座長が「県が行う事業。検討はここで行うが、やるかどうか決めるのは県。そこはちゃんと答えてほしい」と述べるなど、場は一時混乱。

県は「検討委員会の中で議論して、県が甲状腺検査を実施していく」と言い直し、安村センター長も「一つの報道があったからこの場で回答しろというと、いろんな報道があるので、こういう場で回答を求められて対応するのは困難」と話した。

室月委員は「委員として質問しても構わない内容」とした上で、改めて▽県立医大の倫理審査委員会が2020年に研究計画書の変更を承認したことは事実か▽検査8巡目の倫理性や妥当性を議論するのはいつになるのかーーなどへの回答を求めた。

最後は重富座長が、「委員の意見は大変重要。無視はできないため、県から室月委員に対する回答という形で報告をお願いします」と提案し、次回の検討委員会開催時に県が改めて回答する運びとなった。

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