徹夜明けの体は「いつもの走り」を忘れている
Credit:Canva徹夜明けでも、走り出してしまえば案外いつも通り――そんな感覚に心当たりのあるランナーは多いはずです。
実際、一晩の寝不足でタイムが劇的に崩れるわけではなく、フォームの乱れをはっきり自覚することもほとんどありません。
しかし、体は思った以上に正直でした。
これまでの研究で、睡眠不足が持久力を低下させることや、よく眠れていないランナーほど怪我が多いことは分かっていました。
ただ、調べられてきたのは主にパフォーマンスや心拍数・酸素消費といった生理的な指標で、「体の動かし方そのもの」の変化はごく最近、研究室の本格機材でようやく確認されたばかりでした。
そこで研究チームは、走る習慣のある男女21人(女性11人・男性10人)に、1週間の間隔を空けて2回、トレッドミルを走ってもらいました。
1回は普段どおり眠った翌朝、もう1回は一睡もせず徹夜した翌朝です。
走行中の動きは、研究室に据えられた本格的なモーションキャプチャと、腰に着けた小さな市販センサーの両方で、同時に記録しました。
その結果、徹夜明けの走りには、はっきりとした傾向が現れました。
同じ速度で走っているにもかかわらず、1分あたりの歩数(ピッチ)が1〜3歩少なくなり、足が地面に着いている時間(接地時間)が延び、さらに一歩ごとの動きのばらつきも増える傾向にありました。
毎回の一歩が同じリズム、同じ着地で刻まれなくなり、フォームが微妙に揺らぎ始めていたことになります。
ぐっすり寝た日も徹夜した日も、本人の感覚では「同じように走っている」つもりです。
ところが実際には、たった一晩眠らなかっただけで、練習で体に染みついたはずのフォームが静かにズレ始めていました。
では、この小さなズレをAIに学ばせることはできるのでしょうか?






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