「力そのものが物質になった粒子」をついに発見か──物理学が50年探した幻

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物質ではなく「力」だけでも粒子になれる

物質ではなく「力」だけでも粒子になれる物質ではなく「力」だけでも粒子になれる / 上の2つは2個または3個の物質を作るクォーク粒子とそれを繋ぎとめる力として働くグルーオンがバネが両方描かれている。しかし下のものは物質となるクォークがなく、力を伝えるグルーオンだけで作られたグルーボールを示している。/Image courtesy of University of Glasgow

私たちの体も、机も、夜空の星も、細かく砕いていけば原子になり、原子の中心には陽子や中性子が詰まっています。

そしてその陽子や中性子も、さらに小さな「クォーク」という粒が3つ集まってできています。

ところが、クォークをいくら集めても、それだけでは陽子や中性子という形あるまとまりになりません。

バラバラのクォークを固く貼り合わせる”接着剤”のような結びつける力の役割を果たす粒子(グルーオン)が働いて初めて、陽子や中性子が形になり、原子が、そして私たちの世界ができあがります。

つまり万物は「物質を作る粒子」と「力を伝える粒子」のセットでできているのです。

より砕けて言えば「材料」と「接着剤」のセットとも言えるでしょう。

実際、力を伝える粒子である「グルーオン」という名前自体も英語で「接着剤」の意味をもつグルー(glue)が含まれています。

そしてこの接着剤には、他の粒子にない奇妙な性質があると考えられていました。

それは「接着剤自身が、接着剤にくっつく」ということです。

たとえば光(光子)は電磁気の力を運びますが、光同士が直接くっついて塊になることはありません。

しかしグルーオンは自分同士でも結びつくため、理論上は材料のクォークが1つもないまま、接着剤だけが丸まった塊が存在できてしまうのです。

この「純粋な力の塊」こそがグルーボールです。

しかし困ったことに、グルーボールは普通の粒子とよく似た姿で現れるため、決定的な見分け方がなかなかありません。

そんな中で浮上した最有力候補が、2011年に北京の実験で発見された粒子「X(2370)」でした。

(※Xは「正体不明」を、数字はおおよその重さを表しています。)

その重さが、理論の予言するグルーボールの範囲にぴったり収まっていたのです。

ただこのときは、「本物のグルーボールなのか、それともクォークでできた普通の粒子なのか」という区別がつかないままでした。

体重だけで誰かを決められないのと似ていると言えるでしょう。

そこで研究チームは、候補止まりの状況を打ち破るべく、「クォークを含まないこと」をあぶり出す検証に挑みました。

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