(CNN) 猛暑と雨不足が欧州の主要河川に深刻な影響を与えている。水位は所によって過去最低の水準に落ち込んでおり、宇宙からも危機的な状況が確認できる。
人工衛星の画像では、見る影もなく細った水路が、干からびた土地を縫うように流れている。水位低下の結果、河岸の広い範囲がむき出しになり、普段は水中深くに隠れている長い砂州も姿を現した。
欧州の河川流量が平均水準だった2023年と比較すると、主要河川の一部で流量がいかに減少しているかが分かる。

ブルガリアのビディンを流れるドナウ川。2023年8月と26年8月の様子/European Space Agency/Copernicus Sentinel-2

ブルガリアのビディンを流れるドナウ川。2023年8月と26年8月の様子/European Space Agency/Copernicus Sentinel-2
欧州は地球上で最も急速に温暖化が進む大陸だ。人為的な気候危機の影響で、気温は前例のない水準に上昇し、夏の過酷さは一段と増している。相次ぐ猛烈な熱波が土壌や水路から水分を奪い取る。干ばつが長期化しているため、状況の改善はほとんど見られない。
影響は甚大だ。欧州の川は生活を支える大動脈で、物資の輸送や発電所の冷却、水力発電のほか、観光客を呼び込んだり、野生生物に不可欠な生息地を提供したりする役割もある。川が縮小するにつれ、住民や経済、生態系は苦境に立たされている。
欧州の川は夏の間、頻繁に水位が低下するが、今年は一部の地域で前例のない水準に達した。欧州大陸の2大河川に当たるドナウ川とライン川では、特に影響が深刻だ。
ドイツから10カ国を流れて黒海へ注ぐ欧州第2の河川、ドナウ川はハンガリーで過去最低の水位を記録した。
AP通信によると、ハンガリーの首都ブダペストでは3日、18年に記録された33センチの過去最低水位を大幅に下回った。今週には別の熱波も中欧や東欧を襲っており、水位がさらに低下する可能性に懸念が高まっている。
ドナウ川の水位低下は、ハンガリーでエネルギー危機を引き起こしている。ハンガリー国内の電気のほぼ半分を生み出し、冷却にドナウ川の水を使用しているパクシュ原子力発電所では、水位低下の影響で1基を除くすべての原子炉が停止を余儀なくされた。現在の稼働率は約10%にとどまる。
ハンガリーのマジャル首相は、夕方のピークの時間帯に電力消費を自主的に減らした家庭や産業界に感謝の意を示した。

ハンガリーのパクシュを流れるドナウ川。2023年8月12日と26年8月の様子/European Space Agency/Copernicus Sentinel-2

ハンガリーのパクシュを流れるドナウ川。2023年8月12日と26年8月の様子/European Space Agency/Copernicus Sentinel-2
ルーマニアもエネルギー問題に直面する。ルーマニア海軍は3日、ドナウ川の水をチェルナボー原発で唯一稼働中の原子炉へ導くため、爆発物で岩を爆破した。
河川の水位低下で観光業にも影響が出ており、一部の川下りクルーズは中止や変更を余儀なくされている。ブルガリアでは先週、ドナウ川の砂州にクルーズ船が乗り上げた。
水位が下がるにつれ、歴史的遺物が露出している地域もある。先週、ブルガリア北部で古代のマンモスのものとみられる遺骸が発見され、セルビアでは沈没していたナチスの軍艦が姿を現した。

干ばつと猛暑によるドナウ川の水位低下で姿を現した第2次世界大戦時のドイツの軍艦。そばで人々が泳いでいる=7月30日、セルビア/Djordje Kojadinovic/Reuters
スイスアルプスを源流として北海へ注ぐライン川も、危機的な低水位にある。ライン川は食料や鉱物から石炭、石油まで、あらゆる物資の輸送を支える大動脈だ。
スイス連邦森林・雪・景観研究所の水文学者マッシミリアーノ・ザッパ氏によると、アルプス山脈の冬の降雪量の少なさに雨不足、ライン川流域の広い範囲に影響を及ぼした5回の熱波が重なり、水位の低下を引き起こした。
ライン川の水運のボトルネックとなっているドイツ西部カウプでは5日、水位が22.8センチを記録した。ロイター通信がドイツ連邦水路海運局のデータとして報じたところによると、以前の最低記録は18年に記録された約23.6センチだった。

ドイツのコブレンツを流れるライン川の2023年8月と26年8月の様子/European Space Agency/Copernicus Sentinel-2

ドイツのコブレンツを流れるライン川の2023年8月と26年8月の様子/European Space Agency/Copernicus Sentinel-2
水位が極端に下がった結果、商船は座礁を避けるために積載量を最大8割削減せざるを得なくなり、サプライチェーン(供給網)の混乱や輸送コストの高騰につながっている。
ドイツ西部ケルンや、ライン川がドイツからオランダへ流入するロビトでも、過去最低の水位が観測された。
欧州の他の河川にも影響が出ており、イタリアのポー川とフランスのロワール川ではどちらも異例の低水位になっている場所が見られる。
科学者からは、最低水位の記録は今後何度も更新される可能性が高いと警告する声が上がる。英レディング大学のリチャード・アラン教授(気候科学)は「 温暖化が進むにつれ、現在経験しているような水文上の異常現象は氷山の一角に過ぎなくなる」「水資源の管理は今後、どんどん難しくなっていくだろう」の見方を示す。
アラン氏はさらに、こうした異常現象を抑制する唯一の策は「社会のあらゆる分野で温室効果ガスを迅速に削減し、短期的な場当たり策ではなく、長期的な政策を支援することだ」と言い添えた。

2 週間前
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