片山さつき財務相は10月15日、タイ・バンコクで開かれた世界銀行と国際通貨基金(IMF)の合同開発委員会で、新しい議長に選任された。
同委員会は、途上国が抱える課題について議論を行うことなどを目的に1974年に設置。日本から議長が選ばれるのは初めてで、任期はバンコクでの会合終了後から2028年10月までの2年間となる。
片山氏は記者団に、「任命を光栄に思い、身の引き締まる思い」だと語った。そのうえで、開発委員会をより有意義な対話と協力の場にし、各国の協力を得て開発課題の解決に貢献したいと述べた。
高市早苗首相は選任に先立つ10月12日、自らのXで就任予定を公表し、「半世紀を超える歴史を有する権威ある委員会で片山大臣が議長を務めることをとても誇りに思う」と投稿していた。
就任あいさつで「世界経済の発展に尽力する」と表明
片山氏は10月15日、わずか12時間のバンコク滞在で、主要20か国・地域(G20)と主要7か国(G7)の財務相・中央銀行総裁会議、合同開発委員会に出席した。合間には各国の財務相らとの個別会談も重ねた。
開発委員会の最後には議長交代が正式に発表され、片山氏は新議長としてあいさつした。日本が委員会に提出したステートメントでは、重要鉱物、国際保健、エネルギー、債務問題を中心に、世銀グループへの期待と日本の貢献を示した。
母子保健や栄養を支える国際基金「GFF」への4000万ドルの拠出を表明したほか、エネルギー支援策「パワー・アジア(POWERR Asia)」の下で、世銀グループ、アジア開発銀行(ADB)それぞれとの協調の第1号案件を発表した。結びでは、議長として両機関を通じた世界経済の発展に尽力すると述べた。
片山氏は自身のXで、バンガ世界銀行総裁、前任のスバンテッソン・スウェーデン財務相と並んだ議長引き継ぎの写真を公開した。
日本は、米国に次ぐ2位の出資国
財務省の発表は指名と任期を伝えるにとどまり、選ばれた理由には触れていない。議長は委員25人の中から選ばれる。日本は単独で理事を出しており、片山氏も日本の財務相として委員を務めている。
日本はIMFで長年、米国に次ぐ2位の出資国だが、委員会の議長はこれまで一度も出していなかった。財務省は今後、委員会の運営に一層積極的に貢献するとしている。
片山氏は1982年に旧大蔵省に入省し、世界銀行やアジア開発銀行を担当する国際局開発機関課長などを務めた。10月13日の会見では、日本の開発政策や国際金融政策の経験と知見を生かし、建設的な議論を主導したいと語った。
「合同開発委員会」ってどんな組織?
開発委員会は1974年に設置された閣僚級の機関で、開発をめぐる重要課題や、途上国の経済開発に必要な資金について、世銀とIMFの総務会に助言する。正式名称は「途上国への実質資源移転に関する世銀・IMF総務会合同閣僚委員会」。
委員は原則として、世銀またはIMFの理事を選出する国の大臣級25人で、加盟国全体を代表する。会合は通常、春と秋の年2回で、今秋の会合は10月12〜18日にバンコクで開かれた世銀・IMF年次総会の期間中に行われた。当初の開発資金の問題に加え、貿易や地球環境の問題も扱う。
議長はどんな仕事をするの?
議長は、年2回の委員会の会合を主宰し、議論を取り仕切る。主な仕事と立場は次のとおりだ。
・何を話し合うかを決める:会議のテーマは、議長が世銀総裁やIMF専務理事、両機関の理事会の提案を踏まえて決める。
・世銀・IMFのトップと連絡を取り合う:会議のない時期も、両機関のトップと話し合う。
・委員会の「顔」として発信する:国際会議などで委員会を代表して発言する。前議長のスバンテッソン氏も2026年4月、国連の開発資金に関する会議で議長として発言した。
・実務は事務局が支える:日々の実務は、世銀内に置かれた事務局が担う。
・決定権はない:委員会は世銀とIMFに助言する機関で、議長がお金の貸し出しや政策を決めるわけではない。影響力の源は、議題を選び、議論をまとめる点にある。
初代議長は、コートジボワールのアンリ・コナン・ベディエ氏だった。近年はガーナ、バルバドス、ウルグアイ、アラブ首長国連邦、スウェーデンと、アフリカや中南米、中東、欧州の閣僚が議長を務めてきた。片山氏は、2024年10月から務めたスウェーデンのスバンテッソン財務相の後任となる。
議題は議長らの提案を基に決まるため、片山氏がどの開発課題を掲げるかが今後の注目点となる。議長として初めて会合を取り仕切るのは、2027年春のワシントンでの会合になる見通しだ。

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