
米上院選民主党候補のアブドゥル・エル=サイード氏が、2026年10月8日木曜日、ミシガン州グランドラピッズのWOOD-TVで、米上院選共和党候補のマイク・ロジャース氏とのテレビ討論会後、報道陣の取材に応じた。(AP通信/ポール・サンシア撮影)
By Seth McLaughlin – The Washington Times – Friday, October 16, 2026
ミシガン州選出の元下院議員で、共和党の上院議員候補マイク・ロジャース氏は、民主党候補のアブドゥル・エルサイード氏との初の討論会で、イスラム主義組織ムスリム同胞団に繰り返し言及した。5回にわたって同組織を取り上げ、対立候補のエルサイード氏が「ハマス、ヒズボラ、アルカイダを公然と支持する人々」から資金を受け取っていると非難した。
こうした主張をしているのは、ロジャース氏だけではない。
トランプ大統領も最近、エルサイード氏を「ジハード(聖戦)主義者」と呼び、「ムハンマド・アブドゥル・エルサイード」というあだ名を付けた上で、「間違いなくムスリム同胞団の関係者だ」と主張した。
共和党系の政治資金団体「上院指導者基金」は、エルサイード氏の選挙運動を支援するため、「6つの過激派組織」が100万ドル以上を支出したとする広告を流している。ジョン・ケネディ上院議員(共和党、ルイジアナ州)も最近、エルサイード氏は「ビンラディンのジャージーを着て寝ている」と記者団に語った。
上院でどちらの政党が多数派を獲得するかを左右する重要な選挙戦で、共和党は一段と攻勢を強めている。エルサイード氏がハマスなどの過激派とつながっているとの疑惑に加え、同氏がイスラエルを厳しく批判していることも、判断力や米国への忠誠心に疑問を投げ掛けると主張している。
エジプト系移民の家庭に生まれたエルサイード氏は、こうした非難を強く否定している。ムスリム同胞団やハマスなどのイスラム主義組織とは一切関係がないと説明し、共和党は信仰への疑念をあおるため、特定の言葉を暗示的に使う「犬笛政治」を展開していると反論した。また、イスラエル政府の政策批判と過激主義への支持を意図的に混同しているとも主張した。
論争の中心にあるのは、1928年にエジプトで設立され、中東各地に関連組織や支持者を持つスンニ派イスラム主義運動、ムスリム同胞団だ。米国は同胞団をテロ組織に指定していない。一方、ハマスは同胞団のパレスチナ支部から生まれた組織で、米政府はテロ組織に指定している。
共和党側は、エルサイード氏の家族の発言やその他の証拠が、同氏の否定と矛盾すると主張している。
共和党側が今週、取り上げたのは、エルサイード氏の異父姉妹イマン・アブデルハディ氏のSNSへの一連の投稿だ。2人の母親はファッテン・エルコミー氏だ。アブデルハディ氏は、モハメド・モルシ氏が2012年にエジプト大統領に選出された後、母親が大学在学中にムスリム同胞団の活動に参加していたと投稿していた。
「大学生だった1970年代初め、母がムスリム同胞団で活動していたことについて、母と素晴らしい話ができた。尊敬している」と、アブデルハディ氏は書いている。
別の投稿では、「私の家族は長年、ムスリム同胞団のメンバーだった。ただ私はずっと、同胞団は政治の世界でうまく立ち回れず、破壊的な結果を招いてきたと感じていた」と述べた。
2013年にモルシ氏が失脚した後、アブデルハディ氏は、家族が同胞団とのつながりを理由に投獄されたと投稿した。同氏は現在、シカゴ大学の准教授を務めている。
こうした投稿について問われたエルサイード氏は、自分も家族もムスリム同胞団とのつながりはないと述べた。
同氏はNBCニュースで「母とそういう話をしたことは一度もない。私は母に育てられなかった。ツイートを根拠にした伝聞であり、真に受ける必要はない」と述べた。
共和党側が挙げている関係は、ほかにもある。
・保守系メディア「ワシントン・フリー・ビーコン」は、「アブドゥル・ラーマン・エルサイード博士」という人物が、2012年にエジプトのモルシ政権を支持する声明に署名した46人の一人だったと報じた。その声明は、モルシ氏に対し「メディアと警察をできるだけ早く一掃する」よう求め、エジプト政権に反対する西側諸国の動きを批判していた。
・エルサイード氏の母親は、ミズーリ州を拠点とする人道支援団体「イスラム・アメリカン救援機関(IARA)」に勤務していた。米財務省は2004年、同団体の米国内資産を凍結し、世界各地のIARAのネットワークをテロ関連組織に指定した。同省は、このネットワークがウサマ・ビンラディン、国際テロ組織アルカイダ、アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンを支援していたと説明した。その後、IARAと役員、職員、関係者5人が制裁違反やイラクへの送金に関する罪で起訴された。IARAは2016年に有罪を認めて解散し、事務局長も有罪を認めた。ただし、エルサイード氏の母親は起訴されていない。
・エルサイード氏の義父で腎臓専門医のジュカク・S・タイーブ氏は、米イスラム関係評議会(CAIR)のミシガン州支部や北米イスラム協会で要職を務めた。連邦検察当局は、両団体を「ホーリーランド財団」のテロ資金供与事件で共謀者として挙げたが、起訴はしていない。この事件では、財団と元幹部5人が、1995年から2001年にかけて、ハマス支配下の組織に約1240万ドルを送金したとして、2008年に有罪判決を受けた。ただし、CAIRと北米イスラム協会は起訴されておらず、後に連邦裁判所は、検察が共謀者のリストを公表したことは誤りだったと認めた。
・タイーブ氏は、エルサイード氏を支援するスーパー政治活動委員会(PAC)「ファイティング・フォー・ミシガン」に30万ドルを寄付しており、この団体の最大級の個人献金者の一人となっている。
・エルサイード氏は2022年10月、CAIRオクラホマ支部のイベントで基調講演を行った。その中で、米先住民を故郷から追い出し、黒人経営者が集まっていた「ブラック・ウォールストリート」を破壊し、オクラホマシティーの連邦政府庁舎爆破事件を引き起こしたのと同じ勢力が、シャリア(イスラム法)を禁じる2010年のオクラホマ州住民投票も推進したと述べた。この住民投票は後に連邦裁判所によって無効とされた。
批判者の中には、CAIRをテロ組織とつながる団体とみなし、エルサイード氏が同団体を称賛していることを問題視する人々もいる。一方、エルサイード氏は、CAIRが米国のイスラム教徒の市民的自由や公民権を守っていると評価している。
エルサイード陣営に、個別の疑惑についてコメントを求めたが、返答はなかった。
上院指導者基金の報道担当者クリス・ガスタフソン氏は、「ミシガン州民は、反米過激派組織とつながり、その資金で選挙運動を行っているエルサイード氏に説明を求める権利がある」と述べた。
共和党は攻勢を緩めていない。
テッド・クルーズ上院議員(共和党、テキサス州)は14日、37分間のポッドキャスト番組「バーディクト」の全編を使い、エルサイード氏の否定を批判した。同氏の説明を「明白に証明できる真っ赤なうそ」と断じ、当選すれば「われわれを殺そうとするテロリストに機密資料を渡しかねない」と警告した。
最近開かれたロジャース陣営の集会では、米同時多発テロでハイジャックされた旅客機「ユナイテッド航空93便」の英雄として知られるトッド・ビーマー氏の父、デービッド・ビーマー氏も、エルサイード氏の価値観が米国の価値観と一致しているのか疑問を呈した。
「アブドゥルの信念も、物の見方も、米国に対する構想も、ミシガン州民であるためには出生証明書だけでは足りないことを示している。彼はミシガン州民ではない。市民ではあるが、それだけで米国人になるわけではない。彼は米国人ではない」と述べた。
ムスリム同胞団を巡る論争の背景には、複雑なミシガン州の政治事情がある。エルサイード氏は同州で生まれ、エジプト出身の父親とミシガン州出身の継母に育てられた。ミシガン大学では卒業生総代を務めた。
こうした政治状況の変化は2024年にさかのぼる。バイデン政権がガザ地区でのハマスとの戦争を巡りイスラエルを支援したことへの反発から、多くのアラブ系米国人有権者が民主党から離れた。トランプ氏は新たな海外での軍事介入を避け、中東に平和をもたらすと約束して支持を広げ、ディアボーン市とディアボーンハイツ市で勝利し、州全体でも僅差で勝った。
それから2年がたち、同じ有権者の一部は、経済問題が解消されないことや中東紛争への政権の対応に不満を募らせている。これが、米国初のイスラム教徒の上院議員を目指すエルサイード氏にとって追い風となっている。
エルサイード氏は、イスラエルによるガザ地区での軍事作戦を「ジェノサイド(集団殺害)」と呼び、米国による無条件の支援の打ち切りを求めた。また、トランプ政権がイスラエルと共にイラン攻撃に加わったことにも反対している。さらに、民主党予備選の中心的な争点として、米イスラエル公共問題委員会(AIPAC)を批判した。同氏は、同氏の落選を目指すAIPAC関連団体が3000万ドル以上を投じたにもかかわらず、予備選を勝ち抜いた。
現在、世論調査ではエルサイード氏が僅差でリードしている。
同氏の主張は多くのアラブ系米国人や大卒有権者の共感を呼ぶ一方、ユダヤ系有権者などの反発も招いている。
共和党は、エルサイード氏と過激派組織との関係を結び付けるために攻勢を強めている。この問題で支持基盤を活気づけるとともに、浮動票の有権者に疑念を抱かせられると踏んでいる。
共和党側は、イスラム教徒の有権者を大幅に取り戻すのは難しいと認めている。むしろ、ほかの層で失う票を補うことを狙っている。
ミシガン州を拠点とする共和党の世論調査専門家スティーブ・ミッチェル氏は、党内の考え方を説明し、「イスラム教徒のコミュニティーで失う10万票を、どう埋め合わせるのか」と語った。
エルサイード氏は、選挙戦最初の討論会で、イスラエルとイランのどちらが米国にとってより大きな脅威なのか明言を避け、批判者に新たな攻撃材料を与えた。
しかし、絶え間ない攻撃はイスラム嫌悪や外国人嫌悪が原因との批判も招いている。批判するのは、2024年のトランプ氏の勝利を後押ししたアラブ系米国人有権者の一部だ。彼らは今、共和党が政治的利益のためにイスラム教徒への恐怖を利用していると非難している。
トランプ氏を支持するアラブ系米国人団体として発足し、後に「アラブ人のための平和」に改称した「アラブ系米国人のためのトランプ支持者」の創設者ビシャラ・バーバ氏は、ガザでの衝突が長引く中、共和党がイスラエル支持の姿勢を崩さなければ、同党への支持は失われかねないと警告してきた。
同氏はTRTワールドに「共和党議員が報いを受ける時が来る。選挙が近づいているからだ」と語った。
アラブ系米国人の指導者の中には、エルサイード氏への攻撃は有権者を説得するどころか、かえって遠ざける可能性が高いと指摘する人もいる。
ディアボーンにある中東・北アフリカ系米国人商工会議所の創設者フェイ・ネマー氏は、2024年にトランプ氏に投票し、同年の同市訪問の準備にも携わった。しかし、米国がイスラエルによるイラン攻撃に加わった後、エルサイード氏を支持するようになった。
「彼らは、民族的な背景や祈り方を理由に、彼を過激派候補、急進派候補に仕立て上げようとしている。これは有権者にとって大きな不利益だ」
ネマー氏は、過激派とのつながりがあるとの疑惑を退けた。
「もし疑惑に根拠があるなら、FBI(連邦捜査局)が動き、本格的な捜査が行われ、彼は公職に立候補することさえできなくなっているはずだ」

4 日前
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