毒の針は「打ち込む」ための道具だった
ハチやアリのように針を持つ昆虫には、お尻の中に毒をつくる腺(毒腺)と、それをためる袋があります。
これまで毒腺とその袋は、毒や刺激の強い物質、細菌を抑える物質をつくる場所だと理解されてきました。
それらを針で相手の体に注ぎ込むことが、毒腺の主な役目だと考えられてきたわけです。
ただし、毒腺から出した液を、相手に注がずに体の外で使うアリもいくつか報告されていました。
その1つが、プセウドネオポネラ属(Pseudoneoponera)のアリです。
このアリは、毒腺から出るたんぱく質を含む液を泡立てて泡の糸にし、襲ってくるアリを絡め取ります。
もう1つは、へらのような形の針を持つシリアゲアリ属(Crematogaster)のアリです。
このアリは、毒腺ともう1つの腺(デュフール腺)の液から、触れると効く毒を針の上でつくり、相手に塗りつけます。
とはいえ、どちらも体の外で使われるのは、泡や塗りつける液の形でした。
針を持つアリやハチが、毒腺の液をどう使うかを並べた図です。体の外で使うアリはほかにもいますが、固い糸にして使う例は、知られている限りこのアリが初めてです。Credit: ナゾロジー編集部(編集部が作成した図)今回、研究チームが注目したのは、フタフシアリ亜科のロルドミルマ・アズマイ(Lordomyrma azumai)というアリです。
このアリは、触角を縮めて死んだふりをすることが、以前から知られていました。
チームは、働きアリをほかの種類のアリと巣の中や巣の外で出会わせ、どう戦うかを観察しました。
さらに体を解剖し、針から出る液がどこでつくられ、どんな物質なのかも調べました。
その結果、このアリの針からは、毒とは違う働きを持つものが出ていることが分かりました。






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