
By Ben Wolfgang – The Washington Times – Wednesday, October 21, 2026
数字だけ見れば気が遠くなるような任務だが、米陸軍幹部は、欧州で本格的な戦争が勃発した場合にどう対処すべきかは十分に把握していると語った。
米陸軍は「ウクライナにとって最悪の日」に備えているという。米国と北大西洋条約機構(NATO)の同盟国が、ロシア軍による最も激しいミサイル・ドローン攻撃を撃退できる態勢を整えるためだ。同時に、米軍は敵の目標を数百カ所特定し、必要に応じて攻撃する必要がある。
欧州全域で長距離精密攻撃などの軍事能力を連携させ、実行する任務を担う米陸軍欧州多領域司令部の司令官、スティーブン・P・カーペンター准将は「24時間以内に弾道ミサイル、巡航ミサイル、一方向攻撃型ドローンを最大1200発迎撃・撃破すると同時に、最大1500カ所の目標を探知し、追跡・監視を続け、攻撃に向けて処理する必要がある」と語った。
カーペンター氏は先ごろ、ワシントン中心部で開かれた米陸軍協会の年次総会で、ワシントン・タイムズのポッドキャスト「スレット・ステイタス」の単独インタビューに応じた。世界を代表する2つの核保有大国が直接交戦する、ほとんど終末的ともいえる事態に備え、米陸軍、特に欧州多領域司令部がどのような準備を進めているのか、詳しく説明した。
欧州という比較的限られた戦域で想定されるこの戦闘では、米軍の中でも陸軍が最前線に立つ可能性が高い。欧州には約8万人の米陸軍兵士が駐留しているが、正確な人数は変動する。トランプ政権は欧州での米軍の態勢を見直しており、兵力を域外に移す可能性もある。
カーペンター氏のインタビューの数日前には、宇宙分野の専門家や国家安全保障関係者が、ロシアの衛星「コスモス2612」が米国とフィンランドの衛星「ICEYE-X36」に推定約85フィート(約26メートル)まで接近したと指摘されていた。この衛星は、ウクライナ軍に高解像度の情報を提供しているとみられている。専門家は、ロシアが米・フィンランドの宇宙資産を攻撃しようとしたか、将来の宇宙戦争に向けた予行演習を行った可能性が高いとみている。
これも、ロシアが米国とNATOに対し、どこまで圧力をかけられるか探っているとみられる一例にすぎない。ロシアはほかの面でも、挑発の度合いを強めている。
先月には、NATOの戦闘機がリトアニアの領空でロシアのものと疑われるドローンを撃墜した。ロシアのものとみられるドローンがNATOの領空に侵入する事例が相次いでいる。専門家の多くは、ロシア政府がNATOの反撃の意思を探るために行っていると考えている。
一方、サイバー攻撃、政治工作、インフラ破壊工作の疑いなど、ロシアによるハイブリッド戦術も激化している。一部の専門家は、こうした動きを21世紀型の冷戦につながるものとみている。
ロシアとの緊張が全面戦争に発展した場合に備え、米国と同盟国は長距離砲、ミサイル迎撃能力、対ドローン能力などを整えておかなければならない。カーペンター氏によると、欧州多領域司令部はその取り組みの中核を担っている。
同氏は「われわれは『ウクライナにとって最悪の日』を想定して準備している。陸上部隊を担う米陸軍として、またNATOの陸上部隊として、統合部隊全体の戦力に貢献しなければならないからだ」と述べた。米国は32カ国で構成するNATOの中で、最も強力な軍事力を有している。
欧州多領域司令部は、欧州での米陸軍の火力運用を統括する最高司令部だ。長距離砲撃、航空・ミサイル防衛に加え、サイバー、宇宙、情報分野の能力を連携させる幅広い任務を担う。
その一つは、敵の地上部隊の行動を妨害し、「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」戦略を成功させないことだ。この戦略はロシアと中国の軍事ドクトリンに組み込まれている。防衛システム、火砲、レーダーなどを組み合わせ、敵が特定の陸地、空域、海域を占領したり、通過したりするのを阻止する戦略を指す。
カーペンター氏は、敵がこの戦略を効果的に展開できないようにする上で、欧州多領域司令部が重要な役割を果たすと説明した。特に戦闘開始直後に、敵の進撃の勢いをそぐことを目指すという。
そのため、欧州多領域司令部は火砲による攻撃をはじめ、複数の領域にまたがるさまざまな能力を活用する。火砲は、敵の陣地を遠距離から攻撃できる。
同氏は「われわれには、自軍のシステムを守るための防御的なサイバー作戦を実施できる部隊がある。空中、地上、地中の各領域で活動している。航空機や地上のプラットフォームには電子攻撃能力も備えている」と語った。
またカーペンター氏は、NATO軍のアレクサス・グリンケウィッチ最高司令官(米空軍大将)の10月12日の発言にも支持を表明した。グリンケウィッチ氏は、ロシアが攻撃してきた場合、NATOは「今夜にでも戦える」と述べ、初めて、同盟がどのように勝利するかを公の場で説明した。
グリンケウィッチ氏はワルシャワ安全保障フォーラムで「われわれを攻撃するのは愚かなことだ。攻撃を受ければわれわれは戦う。そして攻撃を阻止する」と語った。
2025年7月にNATO軍最高司令官に就任した同氏は、この年次安全保障会議に出席した欧州各国の首脳らに対し、ウクライナへの支援を強化するよう求めた。ロシアはNATO加盟国に対する攻撃的な行動を強めており、領空侵犯や放火、破壊工作、サイバー攻撃などが相次いでいる。
グリンケウィッチ氏は「紛争が差し迫っているとも、避けられないとも判断していない。同盟に属する10億人の人々に伝えたい。われわれには対処する力がある」と述べた。

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