半分ほどが光って見える月を写した写真です。いつ見ても変わらないように見える月の表面にも、縮んだ跡が「しわ」のような崖として残っています。Credit: Photo by Stephen (Why Steve) Jacobs on Pexels(Pexels のライセンス)月面の「しわ」を1本ずつ地図にする
月の表面には、片側が急で反対側がなだらかな、細長い崖があちこちに見られます。
これは、岩盤が押し合って片方がもう片方に乗り上げてできた、断層の崖(ローベートスカープ)です。
崖を生んだ断層はとても浅く、地表から深さ1kmまでの砕けた岩の層の中でできたとみられています。
月面の崖を横から切って見た図で、縮尺は正確ではありません。両側から押されて断層にそって岩盤が乗り上げ、急な崖となだらかな斜面ができるところに注目してください。Credit: ナゾロジー編集部(編集部が作成した図)縮んでいく月の表面には、しなびたリンゴの皮のように、しわが寄っていくのです。
研究チームは、月を回る探査機ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)のカメラ画像を調べました。
赤道から南北45度までの範囲では、起伏が見えやすい斜めの光で撮った画像が、9割を超える場所でそろっています。
チームは、1ピクセルが0.5〜2mの細かな画像の上で、崖のふもとに1本ずつ線を引いていきました。
赤道に近い所にある「モロゾフ崖」を、探査機のカメラで撮った画像です(論文の図1の一部)。高さは最大で約36mで、例として示された4本の崖の中ではいちばん低いものです。Credit: Watters et al., The Planetary Science Journal (2026)(CC BY 4.0、図1の一部を切り出し)その結果、見つかった崖は8900本を超え、そのうち長さ1kmを超えるものは約5470本にのぼりました。
さらに線を向きのそろった区間に切り分けると、その数は約12万7800にもなりました。
区間の長さを足し合わせて崖1本ずつの長さを求めたことで、月面がどれだけ押し縮められたかを見積もる材料がそろったのです。
崖は、明るい高地にも、「海」と呼ばれる暗く平らな地域にも見つかりました。
北極に近いクレーターの中の、一度も日が差さない暗がり(永久影)にも、崖は刻まれていました。
「ShadowCam」というカメラの画像から地形を立体的に復元すると、そこで最も長い崖の高さは約116mでした。
北極に近い「ムシェ崖」を、ShadowCam で撮った画像です(論文の図1の一部)。北緯78度あまりの所にあり、例として示された4本の崖の中でいちばん北にあります。Credit: Watters et al., The Planetary Science Journal (2026)(CC BY 4.0、図1の一部を切り出し)これはビル30階分ほどの高さで、月で見つかった崖の中でも特に高いものの一つです。
ほかの地域から例として示された崖は、高さ約36〜56mでした。
こうして月の「しわ」は、明るい場所にも暗い場所にも、あらゆる地形に走っていることが分かりました。







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