
韓国統一教会の指導者である韓鶴子総裁が、2025年9月17日(水)、韓国ソウルの特別検察庁に到着した。(AP通信/イ・ジンマン撮影)
By Andrew Salmon – The Washington Times – Monday, August 31, 2026
【ソウル】世界的な宗教指導者で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の韓鶴子総裁(83)は、前大統領夫人と元国会議員への贈賄と横領の罪で起訴され、31日、懲役2年の実刑判決を言い渡された。
健康状態が悪化して入院している韓総裁は、車いすに乗り、マスクを着け、病院のパジャマ姿で判決公判に出廷した。
韓総裁は一貫して起訴内容を否認してきた。しかし、ソウル中央地裁は判決で、韓総裁が率いる家庭連合が「組織拡大の機会」を見いだし、「教団の政策への国家の支援」を得ようとしていたと指摘した。
左派系の李在明政権の下で韓総裁をはじめ保守系の宗教関係者に対する取り締まりが強まっていることについて、世界の宗教の自由を擁護する団体からは、李政権が政敵とみなす人物を迫害するための口実になっているとの批判が出ている。
韓総裁は公判で、事件の中心となった贈賄と横領について、自分の指示ではなく、家庭連合の元幹部が独断で行ったものだと主張している。
家庭連合側は控訴する可能性が高い。
韓総裁は11カ月間、拘束されている。
李在明大統領は2025年6月、保守派の尹錫悦前大統領が失脚した後の大統領選で圧勝し、政権を握った。中国に強硬姿勢を取り、反共産主義を掲げていた尹前大統領は、2024年12月に戒厳令宣布を試みて失敗した後、弾劾され、現在は終身刑に服している。韓総裁の裁判では、尹前大統領の妻も贈賄を受けた人物の一人となっている。
31日の判決は、共産主義に反対し、伝統的な家族観を訴えてきた家庭連合にとって、最近では2度目となる大きな打撃となった。
家庭連合は6月、日本で宗教法人格を失った。
■「マザー・ムーン」収監
韓総裁に対する贈賄罪は、尹前大統領の妻にシャネルのバッグやダイヤモンドのネックレスなど高級品を贈ったことが中心となっている。
また、尹前大統領が所属していた保守系の国民の力の権成東議員に7万3000ドルを寄付したことも罪に問われた。
韓総裁の弁護団は一貫して、いずれの行為についても韓総裁が指示したものではないと主張している。元教団幹部の尹ヨンホ被告が韓総裁の指示を受けずに独断で行ったものだとしている。
31日の判決に先立ち、尹前大統領の妻の金建希受刑者を含む事件関係者は収監されている。金受刑者は懲役7年の判決を受け服役中。これらの人物は全員、尹前大統領とその妻、関係者の行為を捜査するため李氏が任命した特別検察官のチームによって摘発された。
検察によると、家庭連合の贈賄には、政治的便宜を得る狙いがあり、それには、2022年の尹前大統領の大統領就任式への韓総裁の出席、カンボジアでの事業計画に対するソウル市の支援、韓国のケーブルニュースチャンネルの買収などが含まれていた。
しかし、こうした便宜はいずれも実現していない。
検察は当初、家庭連合が尹前大統領の政党のために10万人の信者を動員しようとしていたとも主張したが、後にその人数が教団の信者数を上回ることが判明し、この主張を撤回した。
韓国では検察の権限が強い。昨年10月には、金氏を巡る捜査に関連した取り調べを受けていた地方政府職員が自殺した。
韓総裁は昨年9月に拘束されて以降、入院を挟みながら長時間の取り調べを受けてきた。ほぼ失明状態で、心臓疾患を抱えているほか、転倒による外傷にも苦しんでいる。
信者から「マザー・ムーン」と呼ばれる韓総裁は、2012年に夫が死去した後、家庭連合の指導者となった。夫は北朝鮮から韓国に渡り、1954年に統一教会を創設した。韓国で成長した教団は世界的な組織となり、ワシントン・タイムズを含む複数の事業に関わっている。
収監されても、健康状態が許せば、韓総裁は刑務所から家庭連合の指導を続ける可能性がある。韓国の財閥では、服役中の会長が刑務所内から経営を続けた例がある。
後継者も決まっている。韓総裁は2024年4月、ソウル北東部の加平にある教団の修練施設で開かれた式典で、2人の孫を後継者に指名した。
家庭連合は「2人は上級幹部とともに教団の継続的な宗務に参加している。将来に備え、重要な責任を任されている」と説明した。
今後、韓国当局が家庭連合への攻勢を続けるかどうかは不透明だ。
■国家対教会
世界各地でキリスト教などの宗教の統一を目指す家庭連合は、合同結婚式などの活動を巡り、米国でもしばしば批判を浴びてきた。一方、西側の保守派政治家からは支持を得てきた。
トランプ米大統領や、ニュート・ギングリッチ元米下院議長らは、家庭連合が支援する大会で演説している。
安倍晋三元首相暗殺事件では、母親が教団に多額の献金をしたことに不満を抱いた人物の動機の1つとして、安倍氏の家庭連合への支持が挙げられた。
日本の国会議員と教団との関係が明らかになったことで、家族が教団から献金を強要されたと訴える人々を支援してきた弁護士グループによる家庭連合への長年の法的追及が再燃した。
教団側は、安倍氏を殺害した人物の母親が行った献金の半分を含め、多くの献金を返還。また、高額な宗教関連商品を販売する「霊感商法」などの活動は廃止したとしている。
しかし、こうした対応も功を奏さなかった。法律に違反していなかったにもかかわらず、教団は6月、特別抗告が退けられたことで解散命令が確定した。
今後、韓国でも家庭連合が同様の攻勢にさらされるかどうかが焦点となる。
韓国憲法19条と20条は、それぞれ思想・良心の自由と信教の自由を保障している。
しかし、韓国は1910~45年の日本による朝鮮半島の植民地支配を通じて日本の法制度を引き継いでおり、日本では教団解散を巡る先例ができている。
韓国では、多くのプロテスタント教会が李氏に反対する立場を取っている。李氏も家庭連合に不信感を抱いているとみられる。
李氏は1月、主要宗教団体の指導者らと会談した際、家庭連合と、キリスト教系の少数派宗教である「新天地イエス教証しの幕屋聖殿(新天地)」教会の解散を支持すると表明した。
6月には、新天地教会の創設者で朝鮮戦争の退役軍人でもある李萬熙氏(95)が、信者に政治活動を強要した疑いで逮捕された。
昨年末には、釜山世界路教会の孫賢宝牧師が李氏を批判したことが選挙法違反に当たるとして収監された。この事件には米国でも多くの人々が懸念を示した。孫氏はその後、釈放されている。
今回の判決で、家庭連合と新天地教会を対象に7カ月間続いた捜査が終了した。32人が起訴された。
現在の韓国で、教会と国家の間にどこまで明確な線を引くべきかを巡る議論が続いている。
一方、韓国の右派は力を失っている。国会、大統領府、地方選挙で相次いで敗北し、李氏の左派政権は大きな行動の自由を手にしている。
1月には、ソウルの無所属議員が、宗教団体に対する政府の権限を拡大する民法の一部改正案を提出した。
その狙いは韓国メディアで付けられた通称にも表れている。「教団解散法」だ。同法案は現在、審議中となっている。

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