新たに発見されたクモ、「死の罠」で獲物捕らえる様子を初めて撮影 豪州

6 時間前 2

(CNN) 糸を紡ぐクモのほとんどは獲物を捕らえる際、網を張って獲物がうっかり引っかかるのを待つ。しかしオーストラリアで新たに発見された種は、その糸で円錐(えんすい)形の「死の罠(わな)」を作り、獲物をおびき寄せる。罠を餌と思ったツムギアリがこれに噛(か)みつくと、罠から伸びる糸が上方へ縮んでアリを罠ごとクモ本体の主網へと引き上げる仕組みだ。クモが糸の伸縮を利用してこのような離れ業をやってのける様子は、これまで観察されたことがなかった。

バリスタ・スパイダーの罠がアリに対して作動する様子(Ajay Narendra et al.)

科学者たちは最近この罠について、ノース・クイーンズランドの熱帯雨林に生息するクモによる狩猟方法だと突き止めた。当該のクモは古代ギリシャで生まれた投射兵器にちなんで「バリスタ・スパイダー(ballista spider)」という愛称で呼ばれており、ひょろ長いオレンジ色の脚と、長さ約5ミリメートルの黄緑色の体を持つ。プロポスティラ(Propostira)属に属するが、まだ種名は与えられていないと、研究者らは22日付の学術誌「カレント・バイオロジー」で報告した。

円錐形の罠を餌と思ったツムギアリがこれに噛みつくと、罠から伸びる糸が上方へ収縮。罠ごとアリをクモ本体の待つ主網へと引き上げる/Pranav Joshi via CNN Newsource
円錐形の罠を餌と思ったツムギアリがこれに噛みつくと、罠から伸びる糸が上方へ収縮。罠ごとアリをクモ本体の待つ主網へと引き上げる/Pranav Joshi via CNN Newsource

「この罠が非常に効果的なのは、おそらくエネルギーを極めて高速に解放できるからだ。その大きさに対して、筋肉が生み出せる力の何千倍もの出力を発揮する」と、研究論文の筆頭著者で感覚生物学者のアジェイ・ナレンドラ氏は述べた。同氏はシドニーにあるマッコーリー大学自然科学部の教授を務める。

「まるでバネが装填(そうてん)されているかのようにゆっくりとエネルギーを蓄え、それをほぼ瞬時に放出する」。ナレンドラ氏はCNNへの電子メールでそう語った。

この罠に引き寄せられ、作動させるアリの種は上記のツムギアリのみ。これは樹上性の種で、個体数が多く攻撃的なアリだ。ライバルや捕食者に対して噛みつきと蟻酸(ぎさん)の噴射で攻撃する。足の裏は粘着性に富み、木を登りながら重い物を運ぶのに適している。

確認されている中で、ただ1種の獲物だけを狙って狩りをするクモはバリスタ・スパイダーしかいない。その高度に特化した戦略は、獲物となるアリ本来の攻撃性を利用しつつ、その防御能力を克服するために進化した可能性が高い。研究者らは、このパチンコのような発射機構によってアリを弾き飛ばすことで、他の働きアリが群がる危険を減らしているのではないかと推測している。

しかし、なぜ他のアリではなくツムギアリだけがこの罠に対して攻撃的に接近するのかは、依然として分かっていない。研究によれば、一つの可能性として、クモが罠にフェロモンを付着させており、それがツムギアリにのみ作用して罠への攻撃を誘発しているとも考えられるという。

コロンビアのキンディオ大学の生物学教授で、エクディシス研究グループの研究者も務めるレオナルド・デルガドサンタ氏は、CNNの取材にメールで答え「生物学者たちが以前から認識しているように、ある種のクモは張力のかかった糸を利用して力を増幅し、素早く獲物を捕らえられる。しかしこの研究で説明している罠は、特定の種のアリが取る防御行動を利用するように特別な調整が施されている」と指摘した。同氏はクモ類を研究しているが、今回の新発見には関与していない。

この独特な罠の仕組みを初めて撮影するため、科学者たちは何千キロも移動してオーストラリアのヨーク岬半島の人里離れた熱帯雨林へ向かい、そこで複数のカメラと赤外線ライトを用いて夜間のクモの張り込み観察を行った。彼らは数夜をかけて、クモが個々の糸で円錐形の罠を作り上げる様子を観察・撮影した。糸をピンと張る形で完成した円錐は長さ約6ミリ、基部の直径は約2.3ミリだった。

個々の糸で精巧に作られた罠。ツムギアリの攻撃性を利用することに特化した仕組みとなっている/Gregory Anderson via CNN Newsource
個々の糸で精巧に作られた罠。ツムギアリの攻撃性を利用することに特化した仕組みとなっている/Gregory Anderson via CNN Newsource

その後、研究チームは毎秒5000フレームの速度で罠が作動する様子の撮影に成功した。作動した罠の加速度は秒速4921キロメートルを超えていた。これはF1カーの加速度の約100倍に相当すると、論文筆頭著者のナレンドラ氏は述べた。

この罠は単に速く動くだけではない。これほど小さな質量の糸でありながら、「驚異的な量のエネルギーを蓄えている」とナレンドラ氏は説明する。それは自らの体を弾き飛ばして獲物を捕らえることで有名なスリングショット・スパイダーのエネルギーさえ上回るという。スリングショット・スパイダーの発射システムは、糸で作動する発射システムとしては自然界で最も強力な部類に入ると長らく考えられてきた。

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