将来「損する」という感覚は同等の「得する」感覚の6倍強いと判明

2 ヶ月前 18

私たちは日常生活の中で、まだ起きていない未来のことをあれこれと想像します。

このとき、将来の出来事を頭の中でシミュレーションして沸き起こる感情を、心理学では「予期的感情(Anticipatory Emotions)」と呼びます。

たとえば、投資を始めるか迷っているとき、頭の中では利益の可能性と損失の可能性が並んでいて、それぞれに期待と不安の感情が浮かんでいると思います。

これまでの経済学の世界では、人々が将来の選択をするとき、将来の「結果」をどう評価するかが重要だと考えられてきました。

しかし、実際の私たちは、利益を想像して前向きになるより、損失を想像して身構える気持ちのほうが強く出ることがあります。投資においては価値が下がる不安が強くなり、利益がないのに手仕舞いしてしまうという人も多くいます。

現実の私たちは結果が出るまでの「待ち時間」そのものからも、大きな心理的影響を受けていると考えられるのです。

今回の研究チームが着目したのはこの点です。彼らは将来の出来事を待つあいだに生じる「予期的感情(anticipatory emotions)」が、良い結果を思い浮かべたときと、悪い結果を思い浮かべたとき、同じ強さではない可能性を検討しました。

調査では、英国で約1万4000人の人々から17年間にわたって集められたデータが分析されました。

このデータからは、「来年の自分の経済状況(家計)がどうなると思うか」という期待と、その人の現在の「心の幸福度」がどのように連動しているかを統計的に解析されています。

分析の結果、非常に興味深い人間の心の性質が見えてきました。

私たちは将来の成功を想像する「楽しみ(Savoring)」よりも、将来の損失を想像する「不安(Dread)」に対して、はるかに敏感に反応していたのです。

数値で見ると、同程度の利益(損失)について考える時、不安が今の気分に与えるマイナスの影響は、楽しみが今の気分に与えるプラスの影響の約6倍にも達していたのです。

私たちの心の中では、将来のわくわく感よりも、嫌な予感の方が圧倒的なパワーを持って居座っているようです。

そして、この研究の興味深い点は、この不安の方が強く感じやすいという性質が、私たちにリスク回避を促すのではなく、決断を焦らせるという形で働いていたということでした。

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