専用の科が必要なほど奇妙な「黄金の木」サンゴを発見

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この研究の概要

発表

学術誌『ZooKeys』に、2026年6月30日に掲載されました。

研究チーム

ブリーディ(Breedy)氏、マクファデン(McFadden)氏、クアトリーニ(Quattrini)氏ら6人の研究チームです。標本はコスタリカ大学の動物学博物館に収められ、ゲノムを読み取る作業はスミソニアン協会の研究室で行われました。

調べた対象

コスタリカの太平洋側の4か所で集めた、黄色い八放サンゴの標本です。ラス・ヘメラスで集めた標本の中には、卵を持つものもありました。

調べ方

群体の形や、体の中の骨片(小さな骨のかけら)を顕微鏡で観察しました。あわせて、遺伝子とゲノムのデータを使って、ほかのサンゴとの近さを比べました。

分かったこと

1つずつの遺伝子では答えがそろわず、2つのミトコンドリアの遺伝子は別々の科を指しました。ゲノムの多数の領域をまとめて調べると、エウニケラ科の姉妹にあたる独自のグループだと強く支持されたため、新しい科として記載されました。

まだ分かっていないこと

パナマやガラパゴス諸島でもこのサンゴを見たという観察がありますが、本当にこの種なのかは、まだ確かめられていません。

酸素のほとんど無い海に広がる「黄金の林」

このサンゴが見つかったのは、コスタリカの太平洋側にある海山(海底からそびえる山)です。

コスタリカの太平洋側の海で、黄金のサンゴの標本を集めた場所を示した地図です。コスタリカの太平洋側の海で、黄金のサンゴの標本を集めた場所を示した地図です。Credit: Breedy et al., ZooKeys (2026)(CC BY 4.0)

調査では、遠隔操作で動く無人探査機「SuBastian」を使いました。

2回の調査航海で、ココ島国立公園の南西にある海山「ラス・ヘメラス」などが調べられました。

サンゴが見られたのは水深およそ360〜530mで、東京タワーを沈めても頂上が海面に届かない深さです。

そこは酸素がほとんど無い層で、水温も8〜11℃ほどしかありません。

黄金のサンゴが見られた海の深さを示した図です。黄色の帯の層は酸素がほとんど無く、水温も8〜11℃ほどしかありません。黄金のサンゴが見られた海の深さを示した図です。黄色の帯の層は酸素がほとんど無く、水温も8〜11℃ほどしかありません。Credit: ナゾロジー編集部(編集部が作成した図)

生き物には厳しそうな環境ですが、海山の岩場には思わぬ光景が広がっていました。

岩の表面を、丸い体から細長い腕を伸ばすクモヒトデの一種が、すき間なく覆っていたのです。

その「クモヒトデのじゅうたん」の上に、黄色いサンゴが林のように立ち並んでいました。

サンゴの幹や根元は、ほとんどがクモヒトデの群れに埋もれていました。

林のような密な群れが見られたのはラス・ヘメラスIIで、隣のラス・ヘメラスIではまばらに、別の海山では点々と生えているだけでした。

このサンゴはパナマやガラパゴス諸島でも見られたという観察がありますが、まだ確かめが必要だとされています。

大きな群体は高さ1mを超えます。

幅は1.2mに達し、標本の枝は20〜30回も枝分かれして、扇のような形に広がっていました。

枝の周りには長さ最大5mmの細長いポリプ(サンゴの個体)が並び、群体は毛羽立って見えます。

新種の基準になった標本を、海の中で写したものです。Aは群体を採集しているところ、Bはポリプを近くで写したところ、Cは根元に並ぶ細長いポリプです。新種の基準になった標本を、海の中で写したものです。Aは群体を採集しているところ、Bはポリプを近くで写したところ、Cは根元に並ぶ細長いポリプです。Credit: Breedy et al., ZooKeys (2026)(CC BY 4.0)

生きている間は鮮やかな黄色ですが、保存すると色が消え、茶色っぽく変わってしまいます。

研究チームは、岩場一面に広がるこの光景を、黄金色のサンゴの「庭」と表現しています。

ラス・ヘメラスIIで集めた標本からは卵が見つかっていて、この「庭」で子孫を残している可能性もうかがえます。

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