古代エジプトの方法で、現代人の遺体をミイラ化
実験を行ったのは、エジプト学者のボブ・ブライアー(Bob Brier)と、解剖学者のロン・ウェイド(Ronn Wade)です。
ウェイドはベトナム戦争で衛生兵として勤務した後に解剖学者となり、米メリーランド州の解剖委員会で責任者を務めていました。
一方のブライアーは解剖学の訓練も受けていましたが、主な専門は古代エジプトでした。
2人が実験に使用したのは、米国ボルティモアで科学研究のために献体された、心臓発作で亡くなった76歳の男性です。
男性の詳しい身元は公表されていません。
ウェイドは英語の「embalm」、つまり「遺体に防腐処理を施す」という言葉にかけて、男性を「E・M・バーム」と呼んでいました。
【ミイラ化実験に関する一連の画像はこちらからご覧いただけます】
2人はできる限り古代の方法を再現するため、ファラオ時代の道具や材料を模した品を準備しました。
使用したのは、亜麻布の包帯、幅の広い木製の作業台、銅や黒曜石で作った刃物などです。
ただし銅製の刃物は遺体の組織をうまく切れなかったため、実験の早い段階で使用を断念しました。
本番を始める前には、鼻から脳を取り出す方法も練習しています。
古代エジプトの防腐処理師は、鼻の穴から鉤状の棒を差し込み、脳を除去していたと考えられています。
しかし、詳しい手順までは記録されていませんでした。
2人は最初、棒を使って脳組織を直接すくい出そうとしました。
ところが、脳は非常に柔らかいため、棒に引っかけて取り出すことができませんでした。
そこで鼻から水を注ぎ、棒を使って脳組織をかき混ぜ、液状にする方法を試しました。
すると液状になった脳組織を、鼻から流し出すことができたのです。
これは、文献に残された簡単な記述だけでは分からなかった、具体的な作業方法を再現した重要な成果でした。






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