原子を使わずに「結晶」ができ、光を当てると溶けた

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電子は「まばら」なほど固まる

電子は「まばら」なほど固まる電子は「まばら」なほど固まる / Credit:Canva . 川勝康弘

雪の結晶、食塩の粒、ダイヤモンド。

結晶と呼ばれるものはたいてい、原子や分子がきちんと整列してできています。

ところが、原子の助けを借りずに、自分たちだけで同じことをやってのける粒子があります。

電子です。

そして電子の場合、固まる条件が私たちの常識とは正反対になります。

ぎゅうぎゅうに詰め込むと固まるのではなく、まばらにするほど固まるのです。

なぜそんなことになるのでしょうか。

電子はマイナスの電気を帯びているので、互いに反発し合っています。

普段は動き回る勢いのほうが勝っていますが、温度をうんと下げ、電子の数を思い切り減らしてやると、今度は反発が上回ります。

こうなると電子は、できるだけ互いから離れた場所に落ち着こうとし、等間隔で整然と並びます。

これが電子の結晶(ウィグナー結晶)です。

電子の結晶は、物性物理の世界で何十年も語り継がれてきた予言でした。

しかし実際に作るには強力な磁石で電子の動きを押さえ込むのが常道で、磁石の助けを借りずに作れるようになったのは、ここ数年のことです。

しかも、できたところで手の施しようがありませんでした。

原子の結晶なら赤外線やレーザーで振動を調べる手法が確立していますが、電子の結晶は繊細すぎて、同じやり方が通用しなかったのです。

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