1つのサンドイッチを「複数の体験」として食べる
この方法のポイントは、よく言われる「マルチタスク」とは少し違います。
テレビを見ながらスマートフォンを触るように、まったく別のことを同時にすると、注意が分散して体験を楽しめなくなる場合があります。
今回研究されたのは、1つの体験を構成する複数の要素を「同時に経験している」と意識する方法です。
たとえばハムとチーズのサンドイッチなら、「サンドイッチを食べる」という1つの体験として考えることもできます。
一方で、「パンを食べる」「ハムを食べる」「チーズを食べる」という複数の体験を同時にしている、と考えることもできます。
もちろん、どちらも食べているものは同じです。
しかし大学の食堂で行われた研究では、昼食を複数の体験として捉えるよう促された学生のほうが、その食事をより楽しんだと回答しました。
最終的に分析された323人では、楽しさを10点満点で評価した平均値が、通常の捉え方をした人の7.11に対し、複数の体験として捉えた人では7.47となりました。
より厳密に条件をそろえた実験でも、同じ傾向が確認されています。
研究者らは406人の参加者に、まったく同じ15分間のジャズコンサート映像を見せました。
一方には「ギターとサックスが登場する曲を聴く」と説明し、もう一方には「ギターを聴くことと、サックスを聴くことを同時に行う」と説明しました。
流れる曲も映像も同じなのに、楽しさの平均値は前者の65.53点に対し、後者では71.89点と高くなったのです。
つまり、体験を豪華にしたり、新しい刺激を加えたりしなくても、「自分はいま複数のものを同時に味わっている」と捉えるだけで、同じ体験の感じ方が変わる可能性があります。






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