【分析】人種差別動画は最新事例に過ぎない、トランプ氏による長年の醜悪なSNS投稿

2 ヶ月前 18

ANALYSIS

2026.02.07 Sat posted at 18:40 JST

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トランプ米大統領がホワイトハウスを出発する前、サウスローンを歩きながら記者団の取材に応じる様子=6日/ Jose Luis Magana/AP

トランプ米大統領がホワイトハウスを出発する前、サウスローンを歩きながら記者団の取材に応じる様子=6日/ Jose Luis Magana/AP

(CNN) ホワイトハウスは遅まきながら、トランプ大統領のソーシャルメディアに投稿された1本の人種差別的な動画を削除した。共和党の議員らから批判の声が上がった後で。

動画は、2020年大統領選で投票機が不正を助長したとの虚偽の主張を広める内容で、終盤にオバマ夫妻が短時間登場する。夫妻の顔は類人猿の体の上に合成されている。当初は投稿を擁護し、数時間放置したホワイトハウスだったが(怒りの声を「フェイク」とまで言い切った)、最終的には党派を超えた反発に屈して投稿を削除。方針を転換した。

ホワイトハウスの新たな説明はこうだ。動画は職員が「誤って」投稿した。

トランプ氏は6日になってこの事案を詳述。当該の動画の冒頭部分を確認した後、ある職員に送ったとした。その職員は動画を最後まで確認せず、終盤の不快な内容に気付かなかったという。

「誰かがミスをして、ごく小さな一部を見逃した」とトランプ氏。自分に落ち度はないからという理由で、謝罪はしなかった。

この説明には疑念を抱く理由が複数ある。

一つ目。投稿は5日の夜遅く、日付が変わる直前に共有された。この間、トランプ氏は自身のSNSトゥルース・ソーシャルでいつもの大量投稿を行った。当該サイトは数十もの投稿、再投稿で埋め尽くされている。

二つ目。動画は1分を少し超える程度の長さしかなかった。つまりトランプ氏が自ら内容を確認するのにそれほどの時間はかからない。

そして三つ目。ホワイトハウスは当初投稿を擁護し、12時間近くこれを公開した。本当に「誤って」投稿したものであれば、この判断は奇妙に思える。

とはいえ最大のポイントは、このような事態が過去にもあったということなのかもしれない。それも数多く。

トランプ氏による長年のSNS投稿は時として、「オルト・ライト(オルタナ右翼)」 の工作員が書き込みそうな内容と似通ったものになる。CNNが報じるところによれば、トランプ氏は他人の再投稿を含め、しばしば自らトゥルース・ソーシャルに投稿するが、他にもアクセス権を有する最側近が数人いる。ただ周囲がある程度こうした事態を回避しようとしているにもかかわらず、品質管理は驚くほど低水準のままだった。

実際、10年ほど前にはトランプ氏の選挙陣営が、今回とそっくりな内容で思慮に乏しいSNS投稿について釈明している。

2015年、トランプ氏はツイッター(当時)への投稿で、アイオワ州民は頭が悪いと示唆。理由として、世論調査で自身の対抗馬のベン・カーソン氏を支持していることを挙げた。「トウモロコシにモンサント(の除草剤)が入りすぎると、脳に問題が起きるのか?」と書かれたある投稿を、同氏のアカウントが再投稿している。

トランプ氏は後で次のように投稿した。「うっかり再投稿してしまった若いインターンが謝罪している」

(インターンのせいにしているが、投稿に込められた感情はトランプ氏本人が後に公言する内容と合致している)

16年には大量の札束を背景にしたヒラリー・クリントン氏の画像を投稿。画像には「ダビデの星」を思わせる六芒星(ろくぼうせい)が貼られ、その内側に「史上最も腐敗した候補者」という文言が書き込まれている。当該の画像は過去に、反ユダヤ主義と白人至上主義を標榜する掲示板に登場したものだった。トランプ陣営は即座に六芒星の部分をただの円へと差し替えた。

大統領1期目の17年、トランプ氏は英国の極右のアカウントによる一連の扇動的な反イスラムの投稿を再投稿した。ただホワイトハウスは、投稿内の動画で描かれた暴力的な場面について、本物とは確認できていないことを認めた。

ホワイトハウスは当初、投稿を支持した。しかし動画を制作した団体の憎悪に満ちた言説を突きつけられたトランプ氏は、英ジャーナリストのピアーズ・モーガン氏に対しこう述べている。「もし『彼らは恐ろしい人間だ、恐ろしい人種差別主義者だ』とあなたが言うのであれば、私は喜んで謝罪する。あなたがそれを望むのなら」

19年、トランプ氏は英国の反移民活動家、ケイティ・ホプキンス氏の一連の投稿を再投稿した。ホプキンス氏は移民をゴキブリにたとえるなど、憎悪に満ちた言説を繰り返すことで知られていた。

同じ年には自ら書き込んだ投稿の中でも、非白人系の連邦議会議員4人に対し、「出身地の国に帰り、完全崩壊した犯罪まみれの地域の修復に手を貸す」よう促している。ただし実際には、言及した4人のうち3人は生まれながらの米国人だった。投稿は党派を超えた非難を引き起こしたが、トランプ氏が主張を撤回することはなかった。

20年、トランプ氏は当時下院議長だったナンシー・ペロシ氏と上院民主党院内総務チャック・シューマー氏を中東風の衣装で描いた加工画像を再投稿した。

さらにフロリダの退職者コミュニティー「ザ・ビレッジズ」の住民と称する人々の動画を「素晴らしい人々」と称賛して再投稿したが、その動画では「ホワイト・パワー(白人至上主義)」と叫ぶ人物が映っていた。(この投稿は後に削除され、ホワイトハウスはトランプ氏が動画の「ホワイト・パワー」の部分を聞いていなかったと説明した)

また多数の黒人系の人々が通り過ぎる動画も再投稿。この動画には「もしあなたが女性なら、トランプに投票するか、この怪物たちの誰かがあなたやあなたの娘を襲うのを待つかのどちらかだ」という文言が添えられていた。

大統領に返り咲いた25年までに、トランプ氏はソーシャルメディアを活用して迫り来る政府機関の閉鎖を前に民主党指導部を攻撃した。具体的には人種差別的なAI生成動画を繰り返し投稿し続けた。内容はハキーム・ジェフリーズ下院院内総務をソンブレロと口ひげをつけた姿で描く一方、シューマー氏には偽の声で話をさせるというものだった。

ここで描かれているのは、こうした極度に醜悪な感情を一部是認する人物、それを喜んで助長する人物、あるいは(ひいき目に見るなら)それらについてそこまでの見識を持ち合わせていない人物の、いずれかの姿だ。

トランプ氏は、自党の多くの議員でさえ人種差別的で許容範囲を超えていると断じるような投稿を、それ以前にも何度か行っている。

上院で唯一の黒人共和党員であるサウスカロライナ州選出のティム・スコット上院議員は、5日の投稿を「私がこのホワイトハウスで見た中で最も人種差別的なもの」と形容した。同氏がこのような発言をせざるを得なくなるのは、これで少なくとも3度目だ。前出の「ホワイト・パワー」の投稿には「弁明の余地なし」、非白人の民主党議員に対する「出身国に帰れ」という投稿には「人種的に不快」と、それぞれコメントしていた。

トランプ氏に近い盟友でもある共和党唯一の黒人上院議員がこのような発言を繰り返し行わざるを得ない状況では、何らかの安全策を講じるべき時が来ていると考える人もいるだろう。例えその理由が大統領自身を守ること以外にないとしても。

ホワイトハウスはそうした対応を取っていないようだ。オバマ夫妻の動画を再投稿したことについて、トランプ氏本人もホワイトハウスも謝罪していない。一部の有力な共和党議員が謝罪すべきだと指摘しているにもかかわらず。

そしてトランプ氏の過去の投稿やコメントの趣旨を検証するなら、とりわけ最近のソマリア人に対する排外的な発言はそうなのだが、5日の再投稿も通常の範囲を外れた内容では全くなかったということになる。

本稿はCNNのアーロン・ブレイク記者による分析記事です。

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