(CNN) トランプ米政権がイランとの戦争から抜け出すうえでの最大の問題の一つは、トランプ大統領とその陣営が掲げた極めて絶対主義的な目標の数々だ。
その目標には、イランの完全降伏と体制転換に加え、イランが決して核兵器を保有しないこと、そしてレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラのような中東の代理勢力に対するイランの支援を終わらせることが含まれていた。
今や6カ月目に突入した戦争の長期化に伴い、これらの目標のリストは目に見えて変化し、縮小されている。そしてバンス副大統領は最近、驚くべき形でその内容を一段と切り詰めたようだ。そこには改めて政権側が、想定を下回る成果で手を打つ準備をしている可能性が見て取れる。ことによると、はるかに少ない成果しか得られない可能性さえある。
13日にFOXニュースに出演したバンス氏は、戦争がどのように終結しそうかという問いに対し、二つの目標を挙げた。
「湾岸諸国が世界経済に石油とガスを送り続けるようにし、それによってエネルギー価格の安定を確保することだ」とバンス氏は述べ、さらにこう付け加えた。「それが第一の目標だ。我が国全土の米国人のために石油とガスを安く保つ」
「そしてもちろん、第二の目標はイランが決して核兵器を保有しないようにすることだ」(バンス氏)
これは政権が従来掲げていた目標のリストではない。またバンス氏がそれらに言及した順番も特筆に値する。
14日にバンス氏の発言について尋ねられたホワイトハウスのレビット報道官は、「どちらの目標も大統領にとって同じくらい重要だ」と主張した。
政権はほとんどいつも、イランの核兵器保有阻止を最優先の懸念事項と位置づけてきた。
そしてたとえ両方の目標を同等に扱うことが本当に政権の考えなのだとしても、他の項目を差し置いて石油とガスの価格をそこに含めること自体が注目すべき変化だと言える。
実のところトランプ氏は、5月の時点ではこれを目標とすることを明確に否定していた。戦争の解決を試みるに当たって米国人の経済状況を考慮したかと尋ねられると、トランプ氏は「少しも考慮していない」と回答。非核化があまりにも重要であるため、それ以外のことは何も考慮に入れていないと示唆していた。
(トランプ氏は今月14日にもその主張を繰り返し、イランを巡る重大性を考えれば、米国人がガソリン代を少し多く払うことについて「決して 謝罪しない」と述べた)
筆者は3月、戦争にまつわる四つの目標について、政権がどれほど頻繁に言及しているかを記事にした。ただそれらの目標の中身は、誰が話すかによって変わることが往々にしてあった。
例えば、代理勢力への資金提供を終わらせることを含むリストもあれば、そうでないものもあった。イランのミサイルインフラを破壊することに言及するものもあれば、それを省くものもあった。イランの空軍と海軍を排除することに言及するものがあったかと思えば、海軍にしか触れていないものもあった。
それはまるで、政権がリアルタイムでリストを練り上げている最中であるかのようだった。
しかしここで重要なのは、当時それらのリストのどれにも、米国内での石油・ガス価格を低く抑えることは含まれていなかったという点だ。
そして戦争が始まる前はホルムズ海峡が開かれていたことを踏まえると、その目標は単に戦前の状況に戻るだけと捉えることもできる。つまり新たな成果を生む目標は、イランの非核化だけということになる。
実際、政権内の一部がガソリン価格の低減を新たに強調する動きは、目標の緩和を示す最新の兆候のように思える。念頭にあるのは、トランプ氏の当初の目標にはるかに届かない形で戦争を終結させるための準備だろう。
5月までには、政権がもはや特定の目標を強調しないことが明らかになった。
6月までにトランプ政権は、それまで中心的だった米国の目標にほとんど言及しない覚書をイランと交わした。
そしてここ2カ月余り、トランプ氏の発言は核を巡る要求の縮小を強く印象づけるものとなっている。
以前であれば政権は、あくまでもイラン側が濃縮ウランを引き渡すことを強調していた。しかしここへ来てトランプ氏は、核計画には既に十分な損害を与えた可能性があると発言。核物質は地下深くに埋まっていてアクセスできないのではないかとの認識を示した。また、イランがそれらの回収を試みないよう、米政府はただ宇宙から監視するだけでよいかもしれないと話している。
そればかりかトランプ氏は、イランは既に非核化されたとさえ主張している。
言ってしまえば同氏の発言には、イランを脅して真に抑制的な核合意を受け入れさせることはできないかもしれないことを理解しているような響きがある。
仮に本人はそうでないとしても、同氏の政権がエネルギー価格を「第一の目標」と明言していることは、ここまでの流れにすんなりと合致する。政権は、当初達成すると掲げた厳格な目標から距離を置きつつある。
戦争前の状況に戻ることが本当に現時点での「第一の目標」なのだとすれば、それこそが今回の戦争における成果の乏しさを雄弁に物語っている。
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本稿はCNNのアーロン・ブレイク記者による分析記事です。

4 日前
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