(CNN) 自分たちの戦争ではないにもかかわらず、それは彼らにとって政治的、経済的な悪夢となりつつある。
米国とイスラエルによるイラン攻撃に反対した世界の指導者たちは今、トランプ米大統領と自国の有権者との間で板挟みの状態にある。前者は争いに参加しないことへの怒りを表明。後者は戦争と米国大統領に対する強い敵意を抱いている。
指導者たちのジレンマは、米国とその同盟国との力関係に変化をもたらしている。かつては世界最強の人物をなだめすかし、機嫌を取っていた首脳らが、今や当人を批判し、距離を置こうとしている。それは単なる米国の外交政策への反感だけでなく、戦争に伴う圧力が自国民の生活や、ひいては指導者自身の政府及び政治生命をも脅かしているからに他ならない。
トランプ氏の大統領2期目の行動を方向付けようとしてきた指導者たちでさえ、同氏の軽蔑的な態度には一定の反応を示す。イタリアのメローニ首相は13日、トランプ氏による教皇レオ14世への攻撃は「容認できない」と明言した。戦争を機にトランプ氏との友情が崩壊した英国のキア・スターマー首相は先週、トランプ氏の行動により英国民がエネルギー料金の高騰に直面していることに「うんざりしている」と語った。
各国指導者たちは、自分たちの力ではどうにもならない戦争の余波にも反応。その象徴として国際通貨基金(IMF)は14日、世界が「逆境の」シナリオに向かっていると警告した。それによると世界の経済成長率は、2025年の3.4%から今年は2.5%へ低下するという。
中東のガスや石油の供給に依存している国々は、さらに厳しい状況に陥る可能性がある。IMFは英国の26年の成長率予測を、従来の1.3%から0.8%に下方修正した。これは、危機に瀕(ひん)したスターマー首相の政権にとって大打撃となるだろう。同政権は経済の再活性化という公約を掲げながらこれを実現できていない。

3月19日、ホワイトハウスで会談するトランプ大統領(右)と高市早苗首相/Jim Watson/AFP/Getty Images
米国のもう一つの主要な同盟国である日本も、中東のエネルギーに依存しているため苦境に立たされている。輸送コストの上昇が物価を押し上げる中、賃金上昇は控え目な水準に留(とど)まる。2月の選挙で歴史的な大勝を果たした高市早苗首相にとって、直後にこれほどの逆風に見舞われることは予想外の展開だった。
イランとの戦争以前から、トランプ氏は多くの同盟国で極めて不人気だった。昨年のピュー・リサーチ・センターの調査によると、トランプ氏の支持率は10カ国以上で軒並み35%を下回った。バイデン前大統領以上の支持を得た国は、イスラエルやナイジェリアなどごく一部だった。
このすれ違いは、単にトランプ政権の残りの任期を通して続く亀裂を表すだけではない。それは米国の政治的・経済的影響力を数十年にわたり増幅させてきた同盟関係を脅かす。一方で米国の完全脱退こそ決断していないが、トランプ氏の北大西洋条約機構(NATO)に対する反感は、加盟国の相互防衛の保証を不安定なものにしている。
その発言や外交政策文書でかねて明確にしているように、トランプ政権は米国が一方的に実力を行使することこそが21世紀における国益を守る最善の方法だと考えている。トランプ氏はNATOを防衛同盟としてではなく、自らの外交政策上の利益を推進するための道具と捉えているようだ。例えばイランでの「選択戦争(差し迫った脅威がない中で自発的に開始する戦争)」がこれに該当する。トランプ氏にとって、米国の防衛の傘を頼りにしながら自身の戦争への参加を拒否する同盟国というのは到底我慢ならない存在だ。
しかし多くの同盟国の指導者は、政治的な観点から参戦には同意できない状況にある。彼らが対峙(たいじ)する有権者は、イラン戦争を賢明ではなく成功の見込みも薄い、国際法違反だと見なしている。01年9月11日の米同時多発テロ後に起きた戦争で同盟国が多大な犠牲を払ったことをトランプ氏が軽視したのも、各国の有権者の反トランプ感情を一段と深めただけだった。

1 日前
3






English (US) ·
Japanese (JP) ·