個人株主、過去最多9000万人超え。株高や新NISA背景に投資層拡大、「株式分割」など企業のIR戦略が牽引

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東京証券取引所など全国4取引所が7月2日に発表した「2025年度株式分布状況調査」によると、国内上場企業における個人株主数(延べ人数)は前年度比839万人増の9198万人となった。12年連続で増加し、過去最高を更新した。

流入を牽引したのが、活発化する企業の「株式分割」だ。東証の要因分析では、新規上場による増加(125万人)を大きく上回り、株式分割を実施した企業群だけで263万人もの個人株主を獲得した。

上場廃止に伴う減少分(159万人減)に対し、株式分割実施会社(計227社)による増加分が263万人に上り、全体を大きく押し上げた。最低投資金額の引き下げにより、少額投資家がエントリーしやすい環境が整ったことが統計上裏付けられた。

投資単位の引き下げを契機に個人マネーが動くなか、企業側も選ばれるための戦略を本格化させている。1:5の分割で約30万人の株主を呼び込んだ日本製鉄や、株主数が107万人を突破したイオンはその好例だ。

イオンは「株式会社化100年」を記念した個人株主との対話プロジェクトを打ち出している。急増する個人株主を自社の顧客やファンとして捉え、いかに関係を深めるか。上場企業の個人投資家向けIR戦略の多様化が進んでいる。

115万人の個人株主と歩むイオン、「株式会社化100年」のプロジェクトを実施

イオンは、2025年9月1日を効力発生日として1:3の株式分割を実施したことで個人株主数が16万3372人増加し、107万8906人に達した。同社の発表によると、2月末には115万を突破している。同社は7月2日、今年9月に「株式会社化100年」を迎えるのを記念し、「イオン共創プロジェクト」の始動を発表した。

2026年2月末時点で100株以上を保有する株主を対象に、里山を育む植樹ツアーや直営農場での収穫体験など、体験、対話型の日帰りバスツアープログラムを企画している。現場での対話を通じて「お客さま株主」との関係を深め、新たに増えた個人株主をブランドの理解者に育てるためのプロジェクトと言える。

日本製鉄は30万人増。高配当狙いで資金集まる

2025年10月1日を効力発生日として1:5の大規模な株式分割を実施した日本製鉄は、個人株主数が前年度の53万3788人から82万9155人へと急増し、1年間で約30万人増加した。

同社は配当利回りが4%を超える高配当株の代表格である。新NISAのスタート以降、投資家の間でインカムゲイン(配当金など)狙いの需要が高まるなか、投資単位が下がった同社に資金が集まった。

海外勢の保有比率は過去最高、事業法人は最低に

金額ベースの「投資部門別株式保有金額」に目を向けると、日本株を保有する投資家の内訳の変化も鮮明になっている。

外国法人等の保有比率は前年度比2.3ポイント上昇の34.7%となり、3年連続で過去最高を更新した。年間で10兆3375億円の買越しを記録しており、海外投資家からの日本株シフトが継続している。

一方で、個人投資家の保有比率は17.4%(0.1ポイント上昇)と微増にとどまった。年間では4兆7944億円の売り越しを記録している。

また、事業法人等の保有比率は1.0ポイント低下の17.7%となり、過去最低を更新した。一方で、年間では11兆521億円の買い越しを記録しており、22年連続の買い越し基調となっている。

今回の調査結果は、株式分割による個人投資家の広がりや海外勢の資金流入をデータで裏付ける形となった。また、国内企業による活発な自社株買いなど、市場の変化も映し出している。新NISAの普及も追い風に、急増した個人株主を意識した企業のIR戦略の多様化が注目される。

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