会議で”ムキにならない”ために、VR「三人称視点」が役立つ

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自分を「一歩引いて見る」と、議論は変わるのか?

組織やチームの意思決定では、メンバーが自分の利得や価値観だけにとらわれず、広い視点から議論に参加することが重要です。

しかし実際の会議では、自分の意見を守ろうとするあまり、相手の発言を新しい情報として受け止めにくくなることがあります。

この問題に関わるのが「セルフディスタンシング」です。

これは、自己から心理的に距離を置き、自分の体験を第三者のような視点から見つめ直すことを指します。

過去の研究では、セルフディスタンシングが感情調節や自己制御、行動変容に良い影響を与えることが示されてきました。

ただし、現在進行中の議論でこれを行うのは簡単ではありません。

会議の最中に「今の自分を第三者のように見てください」と言われても、現実にはなかなか実践できないからです。

そこで研究チームは、没入型のVR空間を利用しました。

VRでは参加者がアバターとして会議に参加でき、視点の位置も自由に設定できます。

実験には、一般から募集した144人、48組の3人グループが参加しました。

参加者は20歳から49歳で、各グループは初対面の3人で構成されています。

研究チームは、参加者を「一人称視点」と「三人称視点」の2条件に分けました。

一人称視点では、自分のアバターの頭部から周囲を見ます。

三人称視点では、自分のアバターの少し後ろ、少し上の位置から、自分自身と相手を眺めます。

画像VRでの一人称視点と三人称視点 / Credit:市野 順子(早稲田大学)ら, CHI2026, CC BY 4.0

そして彼らはVR空間で2種類の意思決定課題に取り組みました。

その結果、三人称視点では、自己の最終意見がグループのコンセンサスと一致する程度が高まり、他者の最終意見を推測する正確さも向上しました。

また、会話の流れを調節するジェスチャーが増え、グループ内の葛藤は減少しました。

一方で、相手の感情に自分の感情が影響される感覚は弱まっていました。

つまり、三人称視点は議論を冷静で合意形成しやすい方向に導く一方、感情的な結びつきには弱点もある可能性が示されたのです。

より詳細な結果は次項で見ていきましょう。

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