
この記事の要点
- 4月21日、NY州司法長官がコインベースとジェミナイを提訴
- 両社の予測市場を州法上の違法賭博事業と認定
- 違法収益没収と利益3倍の罰金、総額34億ドル請求
- 提訴を受けてCOIN株は6%下落、規制警戒感が拡大
「予測市場は違法賭博」NY州が2社を提訴
米ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は2026年4月21日、大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)とGemini(ジェミナイ)の予測市場プラットフォームが州法上の違法ギャンブル事業にあたるとして両社を提訴しました。
今回の訴訟は、スポーツの試合結果や選挙、授賞式の受賞者など不確実な事象を対象にユーザーが資金を賭けられる「予測市場」をめぐるもので、司法長官室は実態を「名称を変えただけのギャンブル事業」と厳しく批判しています。
さらに訴状では違法収益の没収と利益の3倍相当の民事罰金が求められており、海外メディアの報道によればコインベースには22億ドル(約3,500億円)、ジェミナイには最低12億ドル(約1,900億円)の賠償を求められる見通しです。
この提訴を受けてコインベース(COIN)の株価は6%下落し、予測市場ビジネス全体に対する規制リスクへの警戒感が市場で強まる展開となっています。
国会で予測市場が初の議題に
「無認可・21歳未満・大学賭博」3つの違法根拠
無認可で全米展開、大学試合も賭けの対象に
大手仮想通貨取引所コインベース、ジェミナイは2025年12月に予測市場事業を同時開始し、全米50州でサービスを展開してきました。
ただし両社はニューヨーク州ゲーミング委員会のライセンスを取得しないまま運営を続けており、認可カジノやモバイルスポーツベッティング事業者が負担する約51%の売上税も支払っていないといいます。
ニューヨーク州司法長官室はこの無認可運営を問題視したうえで、対象イベントの結果が参加者の行動で左右されず、偶然の要素に依存することから、両社が提供する「イベント契約」は州法上の賭博に該当すると判断しています。
訴状では、州法が大学チーム参加試合への賭博を禁じている点も違反根拠として指摘されています。
コインベースは2026年2月14日のセント・ジョンズ大対プロビデンス大のバスケットボール戦、ジェミナイは同月25日のセント・ジョンズ大対コネチカット大の試合をそれぞれ賭けの対象としていたと訴状に明記されています。
長官「若者を依存にさらす」研究データで追及
大学スポーツ賭博に加えて司法長官室が問題視しているのが、モバイルスポーツベッティングの最低年齢を21歳とする州法に反して、両社が18〜20歳の利用者にサービスを開放してきた点です。
司法長官室は若年層への影響として、米国立衛生研究所の調査で、早期のギャンブル接触がうつ・不安・気分の変動・経済的ストレスのリスクを高めると示されている点を訴状で引用しました。
さらに米国心理学会の研究では、ギャンブル障害を抱える人の32%が自殺念慮を経験したと報告されており、司法長官室は両社のプラットフォームに十分な利用者保護が欠けていると主張しています。
ジェームズ司法長官は2026年1月にも、子どもや10代に人気のビデオゲームを通じた違法ギャンブル促進を理由にゲーム開発会社バルブ(Valve)を提訴しており、今回の訴訟は若年層保護を軸とした執行方針の延長線上にあります。
コインベース「州に権限なし」CFTC論で反撃
こうした州側の執行強化に対し、コインベースは規制権限そのものを争う姿勢を示しています。
同社は2025年12月にコネチカット・ミシガン・イリノイの3州を先制提訴しており、予測市場は連邦のCFTC(商品先物取引委員会)が専属管轄権を持つため、州による規制は及ばないと主張してきました。
同様の管轄論争は予測市場大手カルシ(Kalshi)とニューヨーク州ゲーミング委員会との間でも継続しています。
連邦側でもCFTCが4月2日、予測市場を規制対象に含めようとしたアリゾナ・コネチカット・イリノイの3州を提訴しており、連邦と州の管轄争いが司法の場で本格化しつつあります。
なお、コインベースはコメント要請に応じず、ジェミナイはコメントを差し控えており、両社ともニューヨーク州でのサービス継続可否については現時点で明らかにしていないと報じられています。
CFTC、規制の内部体制を強化
米国は司法判断へ、日本は国会での議題化のみ
先行6州も規制強化「州vs連邦」の司法戦へ
今回のニューヨーク州による提訴は、単なる州単位の摘発にとどまらず、米国内で広がる予測市場規制の流れを象徴する動きとなっています。
実際、ニューヨーク州に先立ち、ネバダ・ワシントン・イリノイ・コネチカット・ミシガン・マサチューセッツの各州も予測市場運営事業者に対する規制措置を講じています。州側では、予測市場をギャンブル法制の対象とみなし、違法賭博として取り締まる動きが広がりつつあります。
一方、連邦のCFTCは予測市場を商品デリバティブ市場の一部と位置づけており、州ではなく連邦が専属管轄権を持つべきだと主張しています。
そのため、予測市場をめぐっては「ギャンブル」なのか「金融商品」なのかを巡る対立が深まっており、今後は司法判断が大きな焦点となります。
片山大臣「継続検討」金融庁も方針未定
こうした議論は日本でも広がり始めています。2026年4月21日の参議院財政金融委員会では、海外DEXと予測市場が国会で初めて議題に上がりました。
ただし、片山さつき財務相は「各国動向を注視しながら継続検討」と述べるにとどまり、金融庁もオフショア予測市場への対応方針を明示していません。
日本では、予測市場をどの法律で扱うべきかについて、まだ制度設計そのものが固まっていない状況です。
予測市場のように法的位置づけが曖昧な領域では、今後の海外動向や司法判断が、日本国内の制度設計や金融庁の対応方針にも影響を与える可能性があります。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.30 円)
予測市場関連の注目記事はこちら
Source:NY州司法長官室 / Coinbese訴状 / Gemini訴状
サムネイル:AIによる生成画像

1 時間前
1











English (US) ·
Japanese (JP) ·